story 42 ページ42
幸せ溢れる度、
涙脆くなる気がする。
ーーー
『…くしゅんっ』
自分の派手なくしゃみで目が覚めた。
なんか、寒いかも…
まだ寝ぼけた目を擦って目を開くと、
超至近距離に遥輝の顔。
「おはよ。
お前、よう寝るなー、ホンマ。笑」
『…お、おはよう。』
ん？あ、そっか。
昨日は遥輝の宿泊先のホテルに泊まったんや。
なんか、くすぐったい朝。
って裸のまま…
慌てて自分の服に袖に腕を通した時、
自分の左手首の異変に、その時初めて気がついた。
『…遥輝、これ、」
私の左手首に、見覚えのない光る
ゴールドの華奢なブレスレット。
「Aに似合うと思って、
前に買ったやつ。笑」
そう言いながら、
あのいつもの余裕たっぷりの笑顔。
私はあと何回、何十回、何百回と、
この人に胸を締め付けさせられるんやろう？
そして多分この先もずっと、
泣かされっぱなしだと思う。
ブレスレットのチェーンに光る、
一粒の輝くダイヤ。
『あ、ありがとう遥輝。
ずっと大事にする。』
「当たり前、
ずっと付けとけよ!
もし外したらシバく。笑」
ホンマにしばかれそうで怖いんですけど…
『ってかさ、
私この場にいたらヤバくない?』
｢うん。間違いなくヤバい。｣
『今何時?
ってか起こしてよ!』
｢起こしたわ!
お前が『もうちょっと』って言うて起きひんから…｣
『言ってない!
起こされた記憶ないもん!』
｢起こしたっちゅーねん。｣
ヤバい。まじヤバい。
化粧したまま寝たから顔グチャグチャ。
おまけに髪の毛も寝癖でグチャグチャ。
いやー！
｢おい、バケオ!
早くせんと卓さん来るぞ!｣
『誰がバケオや!』
そんなやり取りをしてる時、
ドアの呼び鈴が鳴った。
私は慌ててシャワールームに入り、
その姿を見届けた後、遥輝はドアを開けた。
｢おはよう。｣
｢おはよう!卓さん早くない?｣
｢…?フツーの時間に来たけど…｣
｢そっか。｣
｢…何?｣
｢別に。あ、今日は天気がいいっすね!笑｣
｢どーでもえぇけど、女連れ込み禁止な。
皆、下に集まっとーけん早うな。
Aちゃんもバレん様にね!笑｣
卓さんには全てお見通しって訳か。
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作者名：haru | 作成日時：2019年7月26日 16時
