遠い空 (ページ39)

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story 39 -haruki- ページ39

｢愛してる｣
お前はどんな風に言う?

ーーー

離れたくないけど、このままここにいたら、
Aが風邪をひいてしまう。

「…行こ。」

Aの手を握って、球場を出てタクシーを拾う。
そっと握り返してくれた冷たい手に心臓が高鳴る。

２人きりのタクシーの中。

Aの顔を見ぃひん様にずっと下を向いてた。
今、顔を見てしまったら…
理性を保てずに襲ってしまう。

タクシーを降りて、
素早く鍵を開けて部屋の中に２人で入り、
Aをドアと俺の体で挟み込む。

やっと捕まえた。

｢…愛してる。｣

そう言って、Aの柔らかい唇にキスをした。
ずっとずっとこうしたかった。
触れたかった。
角度を変えながら何度も、何度もキスを交わす。
呼吸をする暇も与えないくらい激しく。

『…んっ…』

Aの甘い声が、俺を煽る。
でも…俺はこんなんじゃ全然足りひん。

もっと、もっと、甘く乱れるAが見たい。
抑えられんくてAの服に手をかけた。

『ちょ、ちょっと待って遥輝!』

「えぇから。…俺だけを見て。」

恥ずかしそうにゆっくりと頷くAを抱えて、
部屋の奥へと進んで行く。

『遥輝、下ろして…』

「ムリ。」

辿り着いた先は、ベットサイド。
ゆっくりベッドにAを下ろした。

ベッドに静かに座ったAは、
緊張してんのか俯いて顔を上げへん。

俺だって緊張してるけど、
一瞬もAから目を離したくないねん。

「A、…こっち見て。」

そう言うと、素直なAは、
俺の方をゆっくり見上げて困ったような顔をする。
昔からそうやけど、ホンマにこの顔苛めたくなる。

「で?Aは今日何で俺に会いに来たん?笑」

『え?何でって、』

｢"好き"って言いに来ただけ?笑｣

｢好き｣じゃ物足りない。

Aの声で直接聞きたい。

｢愛してる｣って…

意地悪って分かってるけど、譲れへんこれだけは。

『…意地悪。』

さっきまで甘い声を聞かせてくれた唇を尖らせて
抵抗してくる。
そんな抵抗、逆効果やし。

その瞬間、頬を赤らめながら彼女が口にした言葉。

『…愛してる。』

｢俺も愛してる。｣

想像以上の喜びに包まれて、俺は簡単に理性を失った。