story 38 -haruki- ページ38
俺の弱点は君。
ーーー
『遥輝が好き。』
そう言うと、目に涙を浮かべながら、
『じゃあ、ね。遥輝。』
と、俺に手を振った後、
背を向けて歩き出したA。
もう、今までの俺とは違う。
この恋は、一生、終わることはない。
今ならそう、自信を持って言える。
そんなことを考えてたら、
足が勝手に走り出してAを抱きしめてた。
自分でもビックリするぐらい、
体は本能のままに動いてた。
俺を見たAは、
今にも涙が零れる様な顔して驚いてる。
『会いたかった、
どうしても遥輝に会って言いたかった。』
もう、抑えられへんかった。
その言葉を聞いた瞬間、Aを力強く抱きしめた。
離れられへん様に力強く。
その時、廊下から他の選手が出て来る音が聞こえて、
Aが俺から体を離そうとしたけど、
俺は離さへん。
『遥輝…誰か来る…』
「別に俺はえぇ見られたって。」
むしろ見せつけたいくらいや。
「私は恥ずかしい……」
少しだけ体を離して、Aの顔を覗き込むと、
真っ赤な鼻で頬も少し赤くなっていた。
7月とは言え、
雨に打たれたAの身体は想像以上に冷たくなってた。
「…冷た。」
『雨に濡れたからかな?
でも、大丈夫。笑』
そう言いながら、はにかんで微笑むAが、
愛しくてたまらんかった。
｢とりあえずホテル行こ。｣
『ほ、ホテル!?』
｢デカい声出すな!アホ。
ホテル言うてもラブホちゃうぞ!
球団が用意してくれたホテルやし!｣
『そんな必死にならんでも…笑』
｢うっさい、ボケ。｣
『遥輝はやっぱりずるい。』
｢何が?｣
『ごめん。って言った後に、
こうやって抱きしめてるん。』
｢ごめん。って言ったんは、
俺が先に言うつもりやったから…笑
それに対しての"ごめん"｣
『…紛らわしい。』
｢なんか、ちょっといじめたくなってん。笑｣
『…ムカつく。離れろ。』
｢ムリ。笑｣
意地悪な顔で笑ってるかと思えば、
時折、真剣な顔をして私を見る遥輝。
私を抱きしめてる遥輝の腕が、鼓動が、
身体越しに小刻みに震えてるのが分かる。
もしかして緊張してる？
｢…口では簡単に言えるけど、
実際、行動で示すのって難しいな…」
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作者名：haru | 作成日時：2019年7月26日 16時
