story 27 ページ27
一分で、一秒で、
あなたのこと想うだけで、世界中変わるよ。
ーーー
遥輝A?
いきなりごめん。俺、遥輝。
遥輝北原さんからAの電話番号聞いた。
遥輝もう帰った?
えっ…？
試合が終わり、
VIPルームから出る時、
LINEのメロディーが流れる。
『ジョー。
私の電話番号遥輝に教えた?』
｢お、おぉ。｣
『いつぅー!?』
｢試合前にちょっと、な。｣
『遥輝と会ったん?』
｢まぁ、な。
それがどーした?｣
『今、遥輝からLINEがきた。』
｢なんて?｣
『"もう帰った?"って、』
｢会って来いよ。｣
『…どんな顔して、…会えばいいの?』
｢普通に会えばいいじゃないか。
今のままのお前で。
今、会わないと後悔するぞ。
言っておいた方がいい言葉ってあると思うぞ、
伝えられる時に、伝えておかないと後悔する言葉が、
お前が一番それを分かってるんじゃないのか?｣
A久しぶり、遥輝。
まだ、帰ってへんよ。
A試合最後まで見てたから。
遥輝今から少し会えへん?
遥輝B1駐車場のドアの前で待ってる。
A分かった。ダッシュで行く。
遥輝ダッシュせんでえぇ。
コケるからゆっくり歩いて来い!笑
『ジョー!会って来る、遥輝に…』
｢行って来い!笑｣
ありがとう、ジョー。
"コケるからゆっくり歩いて来い"
昔から、
慌てて走るとすぐにコケてしまう私の癖。
その癖を未だに覚えててくれてる。
その優しさが嬉しい。
けど、ごめん、遥輝。
走らずにはいられない。
会って、まずは何を言おう？
元気？
久しぶり？
ありきたりな言葉しか浮かばない。
どんな顔で会えば、過ぎ去った時を戻せる？
そればかりを考えながら、
エレベーターまでの道程を急ぐ。
B1のボタンを押す指が小刻みに震える。
"大丈夫"
そう呪文を唱えて、エレベーター内にある、
鏡に映るぐちゃぐちゃの髪を整える。
エレベーターは思いのほか早く、
心の準備も半分のままドアが開いた。
と、同時に懐かしい顔が笑って立ってた。
｢お前、走って来たやろ?笑｣
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作者名：haru | 作成日時：2019年7月26日 16時
