story 17 ページ17
今でも、
遥輝に会いたい時、
空を見上げる。
ーーー
ｰ当日ｰ
am9時球場入り。
｢リハは昼に1回だ。
本番は表彰式が終わってから入るから。
歌い終えた後、皆さんに挨拶をしてから、
すぐにはけて来い。｣
『分かった。』
今日も楽屋には、メイクボックスが、
いつもと同じ鏡の前に置かれてる。
"大丈夫"
不安も、緊張も、自信も、衣装の内側で渦巻く。
それでも、一人、一人の為に歌い出せる。
そう思わせてくれた人は遥輝やから。
｢A、関係者さん達に、
挨拶に行こか?｣
『はい。』
楽屋を出て、監督室へと、
スタッフとジョーと共に向かった。
まずは、緒方監督から始まり、
原さんや、工藤さんと、
錚々たる面々に挨拶を済ませ、
リハの為に一度、球場内に入る。
周りの関係者やスタッフが慌ただしく走り回る。
普段私がツアーで、使わせてもらってる、
東京ドームは、いつもLIVE仕様になってるけど、
当然のことながら、今日は野球仕様。
«Aさん、入られまーす!»
既に、音響さんがマイクチェックをしていた。
マイクチェックとは、環境やマイク、
スピーカーの種類によって、
会場内の音の鳴り方は変わってくるから、
最終的に歌い手である、私もマイクチェックを、
しないといけない。
その為、低い音から、高い音まで、
均一に聴こえるよう、スタッフによる入念な、
チェックによる設定が行われる。
私はその場に向かい、
私なりのチェックワンツーの確認をとる。
観客側に向けられた、
メインスピーカーはもちろん、
ステージ用のモニタースピーカーまで、
しっかりチェックする。
音響さんにOKを入れ、
次は"君が代の"のリハ。
普段と立つ位置も違い、
普段のステージとは、到底何もかもが違う。
"君が代"はアカペラで歌うので、
どの音で歌い出すかが一番難しく、
何の音から始めていいのか、
音程がどんどん高くなる歌なので、
高いところから始めると、
後できつくなってしまうから難しい。
落ち着いて普通に歌えば、
難しくないのかもしれないけど、
ドームの残響が凄いので、
あの場で冷静に歌うのは、
結構ハードルが高かそうだな。
大丈夫かなぁ私…
不安と緊張の入交の中、
坂本選手や、山田選手とか、
有名選手達がぞろぞろと、
私のリハの様子を、覗きに来ていた…
…遥輝…？
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作者名：haru | 作成日時：2019年7月26日 16時
