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story 12 -haruki- ページ12

今朝、夢を見た、

遠い昔の懐かしい夢。

ーーー


"Aご挨拶なさい"


"人見知りなコなの、それに恥ずかし屋で、


泣き虫で、遥輝くん守ってあげてね?"


..............


…初めて見たあいつは、

姉貴の本で見たことのある

アンティークドールの様やった。

背がちっこくて、色が白くて、華奢なあいつを、

守ってやらな、って本気で思った。

それはまるで、生まれて初めて、

俺に与えられた大きな使命とさえ思えた…




小2の時に大阪から、

俺の家の隣に引越しして来たA。

遠い昔の、幼い頃の記憶、

まだ何も分からんガキの頃の話や。

そんな昔の幼馴染みが、

今頃夢に出てくるなんて…




俺が和歌山から出た時から、

俺らの間には、

俺の知らんAの9年、

Aの知らん俺の9年の空白がある。

あいつとよく、駆けずり回った野原は、

今、とっくにマンションが建っとる。

俺らの知らん間に、街も、人の心も、

何もかも変わってく、そんな時代や。






幼い頃、俺の後をついてきては、

俺の真似ばっかりして、

よく転んでは、よく泣いてた、

あの泣き虫なAが、一丁前に一流の歌手か…




なぁ?A、
お前は、今も泣き虫なままか?









..............


5年前


「Aの幼馴染みの西川くんだね?
単刀直入に言うよ、Aと会うのはやめてくれ。」


「どういう事ですか?」

「Aをスターにしたいんだ。」

「あの子は、こんな路上で歌ってる人間じゃない。」

「君も表の人間だから分かるよな?」

「…分かりました。」

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作者名:haru | 作成日時:2019年7月26日 16時

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