続き ページ3
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「ザック！」
オリバーの怒気を含んだ声。
お前がそんな声を出すなんて、とそちらを見ると悲しそうなオリバーの顔……？
なんでお前がそんな顔をするんだ。
「もうそんなことしないでくれ…！
俺は、俺らは、ザックに怪我してほしくないんだ！お前が仲間思いなのは分かってる、けど」
「自分の命を投げ出してまで助けようとするな、自分の命を軽視するな…！」
「えぇ。私たちからのお願いよ」
とオリバーに続きポーラが言う。
俺はそっと顔に残った傷跡を触る。
俺が怪我すればするほど救われるヤツがいるのなら、と闘ってきた。
もうとっくに痛みなど感じないこの体がずくりと疼く。
＿＿痛い。痛い痛い痛い。堪らなく痛い。
俺の生きる意味は…？
お前らが怪我をしなくて済む様に＿＿＿
＿＿「……そうだな。ありがとう」
俺はそう言葉を零した。
俺とお前らでは考え方が違うのか。
俺はいくらでも犠牲になろうとするが、お前らはそれを心配する。
なんとか勘づかれない様にこの場をやり過さなければ。
「おう。早く治せよ！」
と出ていく仲間達。
生きる意味を、価値を否定された様な気がして。
呼吸が苦しい。うまく息が吸えない。
息ってこんなに吸いづらいものなのか。
なんとか知識を持っているので落ち着かせるが、自分ともなるとやはりうまくいかない。
＿＿なんとか落ち着いたかも知れない。
……俺は痛みも感じないし、生きているということの意味も分からない。
この箱庭をぶち壊すのは仲間が大切だからで、自分はどうなってもいい。
お前らを守れたということに存在意義を感じているんだ。
＿＿「生きていると感じられる証がほしい」
なんて。
こんなこと考えてる自分が嫌で嫌で堪らない。
…最近の俺はおかしいな、考え過ぎだ。
まぁここにいても仕方ないので洗面所に行って顔洗おうか……
今は真夜中の様で、辺りは静まり返っていた。
俺の為に起きてくれたのか…と申し訳ない気持ちの反面、嬉しかった。
洗面所に着くと、俺は顔を洗った。
冷たい水によって頭が覚まされる感覚。結構この感覚は好きだ。冷静じゃない頭が幾つか覚まされてマシになった気がする。
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作者名：アキレス腱 | 作成日時：2019年4月28日 14時
