それはある種の自己防衛【ザック】 ページ1
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「ﾋｯ…来るな来るな来るな！」
「うあああああああぁぁぁぁ……！」
＿＿辺りに悲鳴が谺響する。今日は忌々しい狩りの日。
＿＿今日も4人減るのか
それは俺かも知れないし、オリバー達かも知れない。
狩りの日になると毎回4人減り、その後補充するかのように減った数だけ月一で人が増える。
『君は生かそう』
『10秒あげるよ』なんて…！
俺達は家畜以下の脆弱な遊び道具か…！
かけがえ無い大切な人も、辛くても耐え忍んできた仲間も、共に笑い合い闘った友人も…！
全員死んだ…アイツらに弄ばれる様に。
だから俺達はこの箱庭をぶち壊す。
もうこんな思いをしなくて済む様に、屈辱を味わらなくて済む様に、傷つかなくて済む様に。
……今は狩りの時間。集中しなければ。
さぁ、どう動けばいい？
どう動けば敵を知れる？
敵の行動を読み取れ。どうすべきか。
そんなことを考えながら体を動かしていた。
そんなとき。
共に行動していたナイジェルのうしろに敵がいて。敵はナイジェルの体に勢いよく腕を叩き付けようと……
「おいナイジェル！」
「あ…」
＿＿「グ、ァッ……」
ベシャッ、と木に叩き付けられる。
そのまま木にズルズルともたれかかる。
肋は確実に折れたな、と頭では冷静に考える。
＿＿よかった。なんとか間に合ったな。
ナイジェルを庇うことに成功した俺は安堵した。ああ、お前に怪我がなくて良かった。
「ヒュッ…カハッ…ア……」
うまく息が吸えない。
脈が異常に早くなって過呼吸になってるのか、それとも肺が潰れたのか。
「ザック！？」
「おい…おいザック！」
ああ。こちらに気を取られてはいけない。
「おい…ナイジェ、ル…俺に気を…取られるな…お前…は急いで戻れ…」
「早く…！」
＿コクンとナイジェルは頷いて、駆けて行った
何年かけて仲間達が作った作戦。
今は耐え忍んで無能を演じなければいけない時で。
俺が壊していいモノじゃない。
＿＿＿この箱庭をぶち壊してくれ。
こんな思いを継がないように。頼んだ。
＿＿もういいか。
敵の腕が迫り来るのを感じる。
＿＿ああどうか。仲間達に幸あらんことを。
そして来世というものがあるのならば。
今度はこんなクソみたいな世界じゃありませんように。仲間達にまた出会えますように。
今だけは神という存在に祈ろう。
＿＿そして俺の意識は糸が切れたように落ちていった＿＿
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作者名：アキレス腱 | 作成日時：2019年4月28日 14時
