２人の恋２

将来のこと ページ43

【結弦】

愛し合った後で甘い言葉を交わしながら彼女の身体を撫でているうちに彼女は眠ってしまった。

帰りも遅かったし仕事で疲れてたのかな。

付き合わせて悪かったけど、彼女を前に我慢できなかった。
まぁ、しょうがないと開き直るしかない。俺、男だし。

眠っている彼女の首元にスマホを当て、彼女が帰ってくる前に見立てておいたネックレスの画像を合わせる。

うん。似合ってる似合ってる。やっぱりコレだな。

待ってる間、エゴサをしてたってのは嘘だ。
本当はホワイトデーに贈る彼女へのネックレスをずっと選んでいた。

ホワイトデーにはネックレスだけど、
７月の彼女の誕生日には婚約指輪(ホンモノ)を贈りたい。

婚約指輪(ホンモノ)とセットでつけられるようなネックレス。

バレンタインもまだなのに気が早いけど、早めにオーダーしておきたかった。

付き合い初めでまだ早いって心に蓋をしてきたけど、
早めに結婚に向けて動いた方がいいと最近になって思い直した。

多分この先は付き合っていることのほうが難しくなる。
付き合う前からそれはわかっていたことだ。

出会ってから今までは俺の人生の中で一番時間のある時期だった。
そしてこれからもおそらくそれは変わることなく今後はますます多忙になっていく。

活動すればするほど行く先々で人の目やカメラがあるし、
きっと今よりもずっと会えなくなっていく。

いくら電話やメッセージをしていても、
離ればなれの時間が長くなれば不安や不満がつのって心まで離れていく。

いくら恋愛経験のない俺でもそのくらいは想像がつく。

でも結婚すれば話は違う。

人の目を盗まなくてもいいし、すぐには無理でも堂々と２人で外を歩ける。
例え多忙でも帰ってくる家は同じだ。
会うための約束も要らない。

何より、彼女を守らなければと思う。

全てにきちんと順をふんで、誰からも批判されないように準備する必要がある。

そのためにはまず自分だ、と自分に言い聞かせる。
自分がしっかりしていないとどうにもならない。

俺は今、不調だ。
まずはスケートの調子を取り戻す。
それが出来なければ彼女との未来はないと思え。

自分にそう言い聞かせて、彼女の眠る温かいベッドから離れた。

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