東京の夜9 ページ23
【主人公】
何か話さなきゃ。
私が平常心に戻れるような話。
「明日は何時にここを出るの?」
「一回泊まってるはずのホテルに戻らなきゃだから7時半くらいかな」
「そっか。別のとこに泊まってることになってるんだ。大変じゃなかった?ここ来るの」
「マネさんとかいろいろ巻いたけど、いい大人だし一晩くらい黙認してくれてるから」
「そっか。明日は何の仕事?」
結弦くんが笑う。
「この夜景を前に仕事の話と来るか。さすがAさん」
「ごめん。でも私、結弦くんといっぱい話もしたいと思ってて」
時間が欲しかった。いつもの私に戻るための。
「うん。俺もAさんと話したいよ」
「じゃあ話そうよ!いろんなこと!」
妙に強く言ってしまった言葉に結弦くんが驚いた顔をした。
やば…。私、必死過ぎる。
ドキドキして苦しくてまた涙が出そうになってくる。
このどうしようもない緊張から逃れたくて違う雰囲気に持っていこうとした。
きっとそれは結弦くんにもわかってる。
結弦くんが私の髪を優しく撫でながら言う。
「Aさんがどんな気持ちでそう言うのか、俺わかってる。でも今はダメ。俺に甘い時間くれるって約束したでしょ?」
男の人の目で強く見つめてくる。
「私…どうにかなりそうで怖い。結弦くんのことが好きすぎて、怖い」
「俺だって怖いよ。Aさんのこと大事なのに、好きすぎてめちゃくちゃにするんじゃないかって。そのドレス姿でどうなるかわかんないし」
「結弦くんがかっこよすぎる…。そんなスーツ姿見せられたら普通気絶する!!」
「そっちこそ、本気で俺を落としにきたくせに。そんなドレスで」
「着せたのは結弦くんでしょ!もういいよ。脱ご。恥ずかしいし」
めちゃくちゃなことを言ってることはわかってても、どうしようもなかった。
立ち上がって着替えに行こうとしたら手首を掴まれる。
「脱がせんのは俺だから」
「……」
「俺たち、こんなに好き合ってるなら今夜はお互いの好きなとこ教え合おうよ」
そんなこと…拒めない。
「うん…」
向き合って、どちらからともなくキスを交わす。
初めての時のキスと同じように。
最初は触れるだけのキスを何度も繰り返してるうちに大人の深いそれになっていった。
頭の中が痺れて身体が中心から熱くなってくる。
熱に浮かされるように身を任せて気がついたら、ベッドの上で結弦くんに押し倒されていた。
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らっき(プロフ) - エミルさん» コメントありがとうございます(*^^*)今後はハラハラドキドキというかなんというかの展開(なんだそれ)になりますが、楽しんでいただけたら嬉しいです!お互い楽しんで書けるのが一番ですよね!頑張ります。 (2021年11月23日 21時) (レス) @page49 id: 4da1a124c4 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 自己満足で書いているけど、やっぱり読んでいる方がどう思われているのか気になりますよね〜。この先はハラハラしそうな展開でしょうか?移行後も楽しみにしていますね。 (2021年11月23日 10時) (レス) @page50 id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
らっき(プロフ) - 鹿さん» この後徐々に何かが起こります!(そりゃそうだ)私ももっと日常の羽生さんを書いてみたいなーと思います。(願望)いつもコメントありがとうございます(*^^*) (2021年11月22日 22時) (レス) id: 4da1a124c4 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 何かが起こりそうな予感がぷんぷんする!続きめちゃ楽しみです^^羽生さんのご自宅での様子が垣間見れて幸せでした!確かに、読者さんの顔が見えないのはさみしいですよね^^ (2021年11月22日 16時) (レス) @page50 id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
らっき(プロフ) - 鹿さん» 相談相手、いると良いですね。スケートのことなら誰にでもサラっと聞いちゃいそうですよね。んでプライベートのことは話さなそうなイメージです。昌磨さん、平昌の時に比べるとメチャクチャ大人になってました。可愛いからカッコいいになりました。私の中で(笑) (2021年11月16日 8時) (レス) id: 4da1a124c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らっき | 作成日時:2021年10月13日 14時