２人の恋２

デート計画１ ページ1

【結弦】

Aさんと東京で初デート、とは言っても東京で外に出るのは危険すぎるので、夜景の綺麗なホテルでインドアデートが妥当という話になった。

夜景にホテルにデートって。

それらの単語を組み合わせるだけで下心満載な感じになってしまうのが何だかなって感じだけど、こんな機会を逃したら俺とAさんは永遠にデート出来ない気がする。

Aさんは金曜日は１人でホテルに泊まり、土曜日は結婚式に出席。
その後またホテルに戻って俺と過ごして、翌日は東京観光して帰る。

俺は土曜の仕事が終わったらAさんとホテルで合流して翌日はまた仕事。

一晩しか一緒にいられないけど、移動もホテルへの出入りも行動も完全に別。

マスコミ対策的には最も安全だろう。

プレゼントを渡したらすぐ帰ると言っていたAさんを引き留めたら、練習終わりまで待つと言ってくれた。

一緒にホテルを選びたかった。

どこに泊まるか決めるところから一緒に楽しみたいと言ったら、Aさんもそう思ってたと言ってくれた。

普段は清潔ならホテルにこだわりなんてないのに、俺にこんなこと言わせるなんてやっぱりAさんにはかなわない。



そんな流れで今、施設内のスタジオを借りて２人でスマホ画面に見入っている。

「うーん、どんなとこがいいかなぁ」

悩みながら探すAさんの手には俺がクリスマスにプレゼントしたスマホケースが光る。

こんな状況、俺って超幸せじゃん。

なんだか今までの生活と違い過ぎてフワフワした気分になる。

「これにする？」

初めてのデートだし、いい思い出にしてあげたくて高級ホテルのスイートルームを指す。

「そんなの高すぎだってば！もっとちょうどいいところがあるって！」

「こんな時くらい別にいーけど。高くても」

「いーの！もっと安くても素敵なとこいっぱいある！」

多少の贅沢ならさせてあげられるのに、と思いながら隣のAさんをチラリと見る。

「家計破綻する人の多くはワンランク上の贅沢を少しずつ積み重ねてしまう普通の人なんだよ。だから消費する時はよく検討しないとダメなの！」

可愛い顔に似つかぬセリフで金融のプロの顔を覗かせるところにドキっとする。

スケートにしか興味のなかった自分にこんな日が来るとは思わなかった。

いつの間に、何やら面白い彼女のペースに振り回されて。

「はいはい。わかったって」

照れ隠しのように、ぶっきらぼうに返事を返す。

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