２人の恋２

新年会 ページ4

新年会では１人１人新年の抱負を発表し、あとは普通の飲み会と同じになる。

皆で話すことといったら、趣味の話とか、彼氏彼女の話とか、既婚者だったら子供の話とか、そんなものだ。

私にももちろん話が振られて、彼氏がいるとだけは話すけど、相手は羽生結弦なのだから当然詳しくは話せない。

彼氏の写真見せてと言われても、ひたすらごまかし続けるしかないし、うわべだけの返答しか出来ずにいたら、後ろから誰かに「ちょっと」と話しかけられた。

振り返るとあの田口主任だった。

彼女から話しかけられるなんてほぼないので内心ビクつきながらも、「何でしょうか」と聞くと、宴会部屋の人のいない一角へ誘われた。

２人で横並びに座る。

慌てて飲み物を用意しようとしたら「いいから」と止められる。

「あの田口主任、何か…？」

「こんなこと言うのもなんだけど、あんまり職場の人にプライベートなことをペラペラ喋らない方がいいんじゃない？あなた、異動してきて間もないんだし」

いきなりクールな顔で一気に言われてたじろぐ。

私、そんなに自分からペラペラ喋ってた？
聞かれたことに当たり障りなく答えてただけだ。

「は…い。すみませんでした」

よくわからないままとりあえず謝るしかなさそうだった。

「別に謝って欲しいわけじゃなくて、気をつけてもらいたいだけだから。ただの忠告よ」

それだけ言うと、田口主任は別の所へ行ってしまった。

残された私は唖然とする。

何、今の？普段から私語がうるさいってこと？
嫌味…？なんだろうけど。

確かに業務中でも、かおりんがあのテンションで話しかけてきて応じることもあるから。

それが気に入らないってこと？
こんな席で言わないで気付いたその場で注意してくれればいいのに。

やっぱり嫌われてるんだ、私。

仕事の指導なんて絶対お願い出来ない。

頼らずに１人でやるしかない。

「おっ？関原主任酔っぱらってる？」

「酔ってないですよ〜」

入れ替わりで真島代理が隣にきたので、お酌をしながら仮面のような笑顔を貼り付けて話していた。

そのまま会の終わりまでずっと話していたけど、さっきの衝撃が凄くて全然頭に入ってこなかった。

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