いつもと違う意味 ページ45
【A】
この場所から、私を連れ去って欲しい――。
「本当にいいんですか？」
「うん。大丈夫だよ。坂本くんは困る…？」
「俺は困らない…ですけど」
その答えを聞いてから、玄関のドアを開けた。
展望フロアを出た後、家まで送ってもらう車の中で「なんか信じられない」と呟く坂本くんは、いつもの余裕そうな坂本くんじゃなくて。
嬉しそうだけど不安そうなその横顔を見て、やっぱり年下の男の子なんだと思ってしまった。
家に着く間際に「もう少しだけ一緒にいたい」と思い詰めたように言われたから。
この状況になったのはそういうわけなんだけど、それは言い訳で。
通りがかりの店でご飯を食べるとか
どこかに車を停めて中で話すとか
選択肢はいろいろあったはず。
なのに家に入れてしまったのは
坂本くんとそうなってもいいと思ったからだ。
むしろ早くそうなってしまえばいいと思った。
もう二度と彼に顔向けできなくなるように
会いたいなんて願えなくなるように。
２人でリビングに入って電気を点ける。
一日不在にしていた家は冷え切っていて
真っ先に暖房のスイッチを入れた。
震えてしまうのはきっと、この部屋が寒いせいだ。
「いつもみたく適当にして」
坂本くんに声をかけてから、上着を脱いで時計とアクセサリーを外す。
ジュエリーボックスの横に置いたままのその箱は見ないようにして、洗面所で手洗いを済ませてリビングに戻ると、坂本くんは上着も脱がずにソファーに腰かけていた。
「どうしたの？いつもみたいにくつろげばいいのに」
「もう遅いですから、時間」
時計を見るともう１０時近い。
「そう？いつももっと遅くまでいるじゃない」
「いつもは田口さんも一緒ですから」
「……」
「俺にとっては意味が違います、全然」
「私にとっても意味、違うけど…」
「そんなこと言われると、俺、帰れなくなります」
切なそうに見つめられて動揺する。
震えを止めるように小さく息を吸ってから――
「…明日、日曜日だし。それでもいいよ」
自分に言い聞かせるようにゆっくりと言い切った。
「今日、男は馬鹿だって言いましたけど…」
「うん」
「俺ももれなく馬鹿ですから。今、Aさんに誘われてるって思ってます」
いつもと違う様子の坂本くんを見ていると、
なぜか年上でいなければと、強く思ってしまった。
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らっき(プロフ) - ハルナさん» いつもありがとうございます(^^)注釈付きってどんなだかドキドキしてますが、雰囲気も楽しんできます！ボアブルゾン買ってないから浮かないか心配ですが、精一杯応援してきます。 (2023年2月23日 6時) (
レス) id: 4da1a124c4 (このIDを非表示/違反報告)
ハルナ(プロフ) - いつも、更新楽しみにしています(^^)GIFT！！！楽しんで♡ (2023年2月22日 23時) (レス) id: d0ddbcd444 (このIDを非表示/違反報告)
らっき(プロフ) - エミルさん» こんな展開お好きでしたか！笑 ありがとうございます( ；∀；)そうそう長くはしないので主人公を許してやって下さい。登場人物たちのこれからをもしよかったら追ってみて下さい(^-^)/コメントありがとうございました(*^^*) (2023年2月4日 5時) (レス) id: 4da1a124c4 (このIDを非表示/違反報告)
らっき(プロフ) - ハルナさん» 主人公ウジウジしてますが嫌わないでやって下さい（笑）好きな人と自分に合う人って違う場合があるなーなんて。ダメダメ、羽生さんを幸せにしないと！いつもありがとうございます(*^^*) (2023年2月4日 5時) (レス) id: 4da1a124c4 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - こういう展開、わりと好きです(笑)この後、結弦くんがどうでるのか？ヒロインの気持ちがどう変わるのか？楽しみにしていますね。 (2023年2月3日 22時) (レス) @page42 id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らっき | 作成日時：2022年10月26日 14時
