話せないトラブル ページ43
【結弦】
返ってこないメッセージの画面は
俺に何かを伝えているような気がして
ずっとしていた嫌な予感がただ募っていく。
やり場のない気持ちを抱えたまま帰宅して
キッチンで水を飲んでいると姉が入ってきた。
「これから練習でしょ？」
「そう」
「どう？調子は」
「別に普通」
冷蔵庫にボトルをしまって早々と去ろうとすると、「そんなんじゃ怪我するよ」と忠告される。
家族は俺の感情の変化に敏感だ。
「話さなくていいから、そこに座って一息ついてから行けば？」
そう言って出ていこうとする姉の背中に向かって呟く。
「なんで逃げんのかな…」
「は？私…？」
振り返った姉は間の抜けた顔をしていた。
「別に。なんでもない」
呼びかけといてなんでもないなんて反抗期のガキだ。
そんな俺に姉は何かを察したようで「ああ」と頷く。
「Aちゃんのこと？逃げられちゃったの？」
逃げられた、という言葉がグッサリ刺さる。
一応気遣いは出来るけど、来るときはグイグイくるのがこの姉だ。
「……微妙なとこ」
「しつこく追いかけるからじゃない？」
またグッサリ来やがる…。
「引いたら終わる場合はどうすんだよ」
「どうこんがらがってるか知らないけど、お互いに好きなんでしょ？」
「多分そう。俺の勘違いじゃなければ」
うーんとうなりながら姉がダイニングの椅子に座る。
「なんか問題でもあるの？」
「何が問題なんだか、話してくんねえから。肝心なとこ」
「話せないようなことなのかな。なんか変なことになってない？あんた、大丈夫なの？」
「女の人が彼氏にも話せない仕事上のトラブルって何？」
「は？いきなり何？」
「いーから教えて。女性の視点で」
「うーん、笑えないような重大ミスとか？えー、でも話せないようなことでしょ？彼氏には話せないとなると…異性問題とか？」
「だよな、やっぱ」
姉が腕を組んであれこれ考えている。
「ストーカーなら逆に彼氏には相談するだろうし、知られたくないとなると本人には不名誉で恥ずかしいこと」
「恥ずかしい…」
「世間体が悪いこと。例えば不倫とか。あとは過去に何かやらかしてすごい悪評が立ってるとか？」
「それはねえだろ」
不倫なんか出来るタイプじゃないし、表彰されるくらい優秀だ。
即答する俺に姉が首をかしげてる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 363人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らっき(プロフ) - ハルナさん» いつもありがとうございます(^^)注釈付きってどんなだかドキドキしてますが、雰囲気も楽しんできます！ボアブルゾン買ってないから浮かないか心配ですが、精一杯応援してきます。 (2023年2月23日 6時) (
レス) id: 4da1a124c4 (このIDを非表示/違反報告)
ハルナ(プロフ) - いつも、更新楽しみにしています(^^)GIFT！！！楽しんで♡ (2023年2月22日 23時) (レス) id: d0ddbcd444 (このIDを非表示/違反報告)
らっき(プロフ) - エミルさん» こんな展開お好きでしたか！笑 ありがとうございます( ；∀；)そうそう長くはしないので主人公を許してやって下さい。登場人物たちのこれからをもしよかったら追ってみて下さい(^-^)/コメントありがとうございました(*^^*) (2023年2月4日 5時) (レス) id: 4da1a124c4 (このIDを非表示/違反報告)
らっき(プロフ) - ハルナさん» 主人公ウジウジしてますが嫌わないでやって下さい（笑）好きな人と自分に合う人って違う場合があるなーなんて。ダメダメ、羽生さんを幸せにしないと！いつもありがとうございます(*^^*) (2023年2月4日 5時) (レス) id: 4da1a124c4 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - こういう展開、わりと好きです(笑)この後、結弦くんがどうでるのか？ヒロインの気持ちがどう変わるのか？楽しみにしていますね。 (2023年2月3日 22時) (レス) @page42 id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：らっき | 作成日時：2022年10月26日 14時
