２人の片想い

告白２ ページ43

沈黙に耐えられないという感じで坂本くんが口を開く。


「今すぐ付き合ってくれとかそういうことじゃなくて、俺のこと考えてほしいんです。主任の相手として。俺、仕事も頑張って頼れる男になります。だから異動しても俺と時々会ってほしいんです」


どうしよう、これ、冗談に出来ないやつ？なんて、酷いことを考えてしまっている私にはきっと坂本くんは勿体ない。


それにさっきからずっと、昨日の結弦くんの顔が頭から離れない。


「ごめん。気持ちは本当にありがたいけど、それは出来ない」


「どうしてですか」


「坂本くんのことはずっといい仲間としか思ってなかったし、私、年上だしね。坂本くんにはもっといい娘がいると思うし」


「俺は関原主任がいいんです」


坂本くんがあまりにもキッパリ言い切るので何も言えなくなってしまった。


というか、私から言ってあげられる言葉が見つからない。



「昨日、主任を迎えに来た人は彼氏ですか」


「ううん。あの人はそんなんじゃないよ」


「どう見ても彼氏でしたけど…」


「うん。でもとにかく違うんだよね。説明は難しいんだけど」


「違うなら…違うなら、俺のこと考えて下さい」


坂本くんに頼み込むように頭を下げられる。


それを見て、適当にかわすのは失礼だと思った。


「あの人は彼氏とかでは本当にないんだけど、私が一方的に好きなの」


坂本くんが頭を上げて私を見る。


「この歳になって本当に痛いと思うけど、片想いってやつ」


ヘラヘラとしか笑えない自分が情けない。


「好き…なんですね。あの人が」


「…うん。そう」


初めて他の人に結弦くんへの気持ちを打ち明けたら涙が出そうになってしまった。


「でも全然、私なんか相手にしてもらえないような人で。だからこの先も痛い片想いしてかなきゃなんなくて。こんな重っ苦しい女、坂本くんは絶対やめた方が」


「俺、そういうの好きじゃないです」


坂本くんが私の言葉を遮る。


「主任は優しいからいつもそういう言い方しますけど、俺に気を遣って俺のために断るのか、その人が好きで俺の気持ちに応えられないから自分が断りたいのか、どっちなんですか」


「その人のことが好きだから坂本くんの気持ちには応えられない」


自分でも驚くくらい、きっぱりと言い切ってしまっていた。


沈黙が流れる。

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