満月の夜に乾いたギターを２【完結】 (ページ10)

今日:4 hit、昨日:8 hit、合計:72,395 hit

57. ページ10

・

『もしもし樹さんですか？』

「Aちゃん聞いたよ親戚のとこ行っちゃうの？」

『そうなんです多分もうライブとか行く機会ないんでメンバーさんにもよろしくお伝えください』

「バイトは？」

『カフェまで電車でギリギリ一本なんで辞めないつもりですちょっと遠いけど時給いいし』

「よかったー！もう会えないかと思った
てかあそこ時給いいんだー俺より稼いでるかも！」

樹さんはいつも通り元気な様子で少し安心

「きょものことはもういいの？」

きっとまた樹さんは探るような目つきをしているんだろう

『もういいんです好き、じゃないので』

これが今できる最大限の答えだ

｢そっか｣なんて小さい声が聞こえる

『ほんとお世話になりましたまた会うと思いますけどじゃっ』

「残り大事に過ごしなね後悔しないように！」

大我さんと過ごす幸せに慣れすぎて
今更大事になんて分からなくて
今だって止まらない気持ちはどこに消化したらいんだろう

大我さんは手紙が来たあの日からちょっと素っ気なくて
やり場の無い気持ちにまた胸が傷んだ