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大我さんはちょっと来てって
私の背中を押してリビングに入ると
いっつもご飯を食べてる大きい机に向かい合って座る
大我さんは頬ずえを着いて曇った顔
「これ誰?親戚?」
『親戚です』
また静かになる
「Aはどうするの」
『できるなら行かないつもりです』
大我さんは頭をかくと天井をしばらく見つめて
またこっちに顔を向けた
「でもね ずっとこうしてるわけにはいかないんだよ」
そんなの知ってるのに
大我さんに改めて言われると心に刺さって
涙がでてくるのを耐えても無理で
『そんなの無理だよ 大我さん』
大我さんは私の頭に手を伸ばそうとすると
なぜか引っ込めて膝に戻した
「手差しのべてくれる人がいるだけ幸せだと思いな」
なんで?それは大我さんが担ってたはずなのに
『わたしは大我さんとずっと一緒がいいです なんでだめなんですか? わたしが子供だからなんですか?』
いつもなら 頭をぽんぽんってしてくれるのに
「俺といてもろくな人生にならないよ 俺は俺でAのこと大事に思ってるから言ってるの」
なんて言って 寂しいよ
そんなことに拘って大我さんのところにいるわけじゃないし
大我さんのことが好きだからいるんだよ
って答えようと思ったけど
もう駄目なんだなって諦めが勝って
これからカバンに詰めなきゃいけないたくさんの荷物と思い出みたいに、ぎゅっと閉じ込めた
あと1年、なんて嘘だよ
1週間しかいれないじゃんか
もしあの気難しい親戚がすべて調べ尽くして知っていたら
手紙にあった通りの「数年面倒見ますから」じゃ
きっと済まないだろう
下手したら 多分 もうここには
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作者名:はむ | 作成日時:2022年8月14日 2時