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54. ページ7
大我side.
「京本 ほんとにそういうの無いの？」
なんか無償に疼いて
外で風に当たってると隣に北斗が並んだ
『あると思うの』
「いや 勝手にそう見えただけ」
北斗は「あと」なんて言いにくそうに声も籠らせると「ネックレスごめん」なんて柄にもなく謝った
『話聞いてるからいいよ まあ許すかは別』
「じゃあ聞くけど 別に俺がAのこと好きになっても京本に害ないでしょ？」
『問題あるよ？北斗には言わないけどね』
懲りねえなって睨むと 北斗は「冗談冗談」ってかき消して
「俺には言わなくていいけどAには伝えてあげて」
一言残すと店に戻った
夜空に浮かぶ満月は
あの日出会って傘を差しのべた時の月に似てる
素直に向き合うとすればするほど
Aに思ってることは深くて 愛しいのはわかってて
触れたい気持ちもあるけど
止められなさそうな自分が怖いだけ
この前はちょっと危なかったなって
大事だからこそ
積み上げてきた信用とか諸々全部壊れそうで嫌なんだよね
お互いの孤独に寄り添いながらここまで来て
いつからかAの存在がでかくなってて
どっからやり直せば正しく見えるんだろう
生まれた年かな
『親みたいな』ってはじめて言ったのは俺なのに
自分の頭の硬さにたまに嫌になって
もういっそ抱きしめちゃおうかなって思ったことは何回もある
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作者名：はむ | 作成日時：2022年8月14日 2時
