満月の夜に乾いたギターを２【完結】 (ページ12)

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あっけなくそれから日々はすぎ
大我さんと過ごす最後の日になった
大我さんは、話すのを避けるように一日中寝ていた

私も釣られて部屋にこもって
ギターの音でハッと目が覚める何時ぐらいだろう

リビングの方に行くと真っ暗の部屋に大我さんが1人

変わらずギターを取って大きい窓の傍に座って欠けた満月を見てる姿は若干小さくみえたけど、何も変わりなくて、あまりにも変わりなさすぎてイライラした

今日でなにがあっても最後なんだなって気持ちがひと押し

床にペたんって座ってる大我さんの後ろにぴったり立つ

『ねえたいがさんは寂しくないの一緒にいたいのってわたしだけなの』

大我さんはギターを置いて立つとこっちを向いた

「いずれ寂しくなるんじゃない」

私がほしいのはそんな答えじゃないのに

滲む涙をこらえて見上げる

そんな愛おしそうな顔で目を細めて笑って

頬を撫でないでほしいずるいよ

忘れられなくなるから

『わたしはやだよずっと一緒にいたい大好きだもんそんなに迷惑だった？嫌いなら振りほどいてお願い』

大我さんの袖をぎゅって掴むと

何も言わずに床に押し倒され

大我さんの顔が天井と一緒に見える

「A？一緒に堕ちちゃおっか世間体とか今日だけ無かったことにしない？全部忘れさせてあげる」

すぐにごめん嘘って小さく呟いた

でも体勢は反転したままでずっと辛そうな顔

『私は大我さんになら壊されていいよ？だってこれでおしまいなんでしょ』

「あんま言うとこれ以上止められないの分かって言ってんの」

なんでそんなに苦しそうなの

『たいがさんだいすきねえたいがさんは私のことすきだった？これぐらい最後に聞いてもい…』

大我さんは

両手で頬を包んで

迷いもなく

唇に触れた

しばらく重なる

「これが答え」

もう一度キスが深くなって
息を吸おうとしても大我さんに溺れる

『たいがさんちょっとくるしい』

「大人なら耐えて」

大我さんは1度ゆっくり私の頭をなでると
ほんとにいいんだね？なんて確かめるように
首筋に数回唇を落として
ビクってする私を見て満足気に笑った

最後の夜は
求めれば求めるほど
愛おしくなって
悲しくなって

何度もたいがさんってよぶ度
苦しそうな顔をするたいがさんにキスをした

約束を破った私たちは
間違いなく共犯だった