25話 ページ27
燈谷side
ポアロ終わりの安室さんを車に乗せ、ある場所に向かう。
安室「あの、どこに向かってるんです？」
「俺の家。」
安室「は？」
「誰にも聞かれずに話すにはそこくらいしかないから。」
安室「いや、そういう意味ではなくて、」
「はい、着きましたよ。」
「俺は地下に車止めてから行くので、これ持って先入っててください。」
安室「え？」
「部屋は最上階の一番奥ですから。」
安室さんが何か言っているが気にせず車を発進させる。
車を停め、俺も部屋に向かった。
「迷わなかったようで良かったです。」
安室「あの、」
「とりあえず座ったらどうです？」
安室さんはダイニングの椅子に座る。
俺はその向かいに座った。
「さっきから何か言ってますよね？なんですか？」
安室「なんで僕を家に連れてきたんです？」
「それ、さっき言いましたよね？」
安室「そうですが...」
「何か飲みます？」
安室「いや、」
「何も入れませんよ。」
俺はそう言って、コーヒーを置く。
「どうぞ。」
俺がずっと見つめていると、意を決したように一口飲んだ。
「ほら何もない。」
俺は冷蔵庫からバーボンを取り出し、ロックにして飲む。
そして、グラスを持ったままベランダに出る。
風が心地よい
「風が気持ちいいですよ。安室さんも来てください」
安室さんは渋々隣に来た。
俺はバーボンをちびちびと飲む。
隣を見れば、コーヒーは置いてきたのか、何も持っていない安室さんがこっちを睨んでくる。
俺ら内ポケットから取り出したタバコに火をつける。
「ふぅー、」
安室さんはさらに嫌そうな顔をした。
「煙草、嫌いですか？」
安室「ええ。」
「吸えないんですか？」
安室「吸えますよ、ただ不味いだけです。」
「そうかなぁ、これ美味しいのに。」
「試してみます？」
安室「は？」
俺は思い切りタバコの煙を吸い込んで、
彼の口の中に吐き出した。
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作者名：Autumn | 作成日時：2019年5月29日 20時
