16話 ページ18
燈谷side
タクシーから降り、指定した場所向かう。
そこには、ちゃんと紙袋に入ったベレッタが。
それを取り、俺の足は、
昨日殺しあった場所に向かっていた。
そこに死体は無く、代わりに嫌なほどの血の匂いと、
まだ乾ききっていない血溜まりが。
俺はしゃがみ、それに触れる。
懐かしい感触が伝わってきた。
それと同時に、
こちら側に来てしまったことを実感させられた。
「はぁ、」
「そろそろ出てきてくださいよ。」
すると、1人分の足音が聞こえてきた。
もう1人いる筈だが...
？「気づいてたのか。」
「えぇ。家を出た時からな。」
「降谷さんからの指示だろ？風見さん？」
風見「なぜそれをッ！」
「簡単だよ。だって風見さんは、降谷さんの右腕だろ？」
風見「ッ！」
風見「昨日何があったか話してもらおうか？」
風見さんは俺に拳銃を向け言った。
「おいおい、病み上がりなんだからよしてくれよ。」
俺はそう言って、ジャケットの下から先ほど取ったベレッタを向ける。
風見さんの顔が強張った。
風見「銃を下ろせ！」
「そっちが先に仕掛けてきたのに？」
風見「銃を下ろせ！！」
「なら、1つ聞いていいか？」
風見「なんだ？」
「ここで死んだ人たちは、どうなった？」
風見「お前に話す必要はない」
「どうなったって聞いてんだよ！」
俺は銃に込める力を強くした。
風見「全員死んでいたが、遺族の元に帰された。」
「...そうか、」
風見「銃を下ろせ」
俺は銃を下ろした。
俺に殺された奴にも、愛する人がいた。
俺が奪った。
突然この世界に飛ばされて、人を殺して、
推しの人にも疑われ、
「こんな形で出会いたくなかったよ、君たちに。」
風見さんが眉をひそめる。
俺は再び銃を上げた。
そして、自分のこめかみにあてた。
風見「...ッ！！！？」
こんなんになるなら、死んだ方がいい。
もう、ウンザリだ。
風見「下ろせ！銃を下ろせ！！」
俺は銃の安全装置を解除した。
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作者名：Autumn | 作成日時：2019年5月29日 20時
