【wrwrd】自由になれるものならば (ページ29)

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28話　-rbr side- ページ29

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まだ中に入らへんのかなぁ、と考えながら彼女と同じように暗い街並みを眺める。
灯りもほとんどなく、静かで時が止まっとるようにさえ感じた。

『もう少し早い時間帯だったら、夜景が綺麗に見えそうですね』

そんなこと考えたことも無かったわ。
高さも十分あるし、灯りがもっとあったら綺麗なんやろな。

rbr「そうやなぁ。俺は見たことないけど」

そうなの？この家には何回も来てるのに？
そう彼女の顔に書いてあるようやった。
数え切れへんほど来てるけど、男同士で夜景とか見たってなぁ。

rbr「野郎共で夜景見たって、仕方ないやん」

『そう、なんですね』

Aちゃんが住むようになる前は、大先生が女を連れ込んどっても、その人と一緒にみんなで飲むとかなかったしな。
俺もこうやってここでまったり外を眺めるんは初めてやわ。

チラッと隣にいる彼女を盗み見る。
外を眺めとるAちゃんは、どこか辛そうで切ない顔をしとった。
その表情にキュッと胸が締め付けられるような、ちょっぴり切ない痛みを感じる。その正体はよう分からんけど。

普段彼女は、どこか一線を引いとるような態度で俺たちと接する。それは愛想がない、というわけではなく、淡々としとるっていうか。
でも時々、さっきみたいに思っとることが顔に思いっきり出とることもある。
その姿が年相応に見えて、可愛らしいとさえ感じる。

もっと感情を表に出したらええのに･･････

そっちのほうが可愛ええのに。
でもそれを知っとるのは俺だけでもええのにな、ともさえ思ってしまう。
彼女のその可愛いさをみんなにも知ってほしい気持ちと、独り占めしたい気持ちで葛藤する。

夏でも夜はやっぱり冷えるようで、身体がブルッと震える。
そこそこ時間も経ったし、身体が冷えてまう。

rbr「そろそろ中に入らへんと、風邪引くで」

そうですね、とAちゃんと一緒に部屋の中に戻る。
彼女の新たな一面が見れて、得した気分になった。
目が覚めて、ベランダにAちゃんがいるのが視界に入った。声をかけようか迷ったけど、結果的に声かけとって良かったわ。

でも、コーラが飲みたなってっていうのは嘘ってバレてんやろなぁ。