【wrwrd】自由になれるものならば (ページ25)

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24話ページ25

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しばらくの間、2人の間に沈黙が続く。

鬱先生は"あれ"を見て、この話を聞いて、どう思ってなんて声をかけてくれるのかな。
気持ち悪いと思っただろうか。それとも可哀想な人だと同情するのだろうか。

「辛かったね」とか「大変だったね」っていう安い同情はいらない。惨めな気持ちになるから。
慰めてほしい訳ではないし、心に寄り添ってほしい訳でもない。
ただここにいる理由を知って欲しかった。たったそれだけ。

ut「Aちゃん、話してくれてありがとう。わざわざ2人っきりで話すってことは、みんなには言わへんほうがええよな？」

ゆっくりと口を開く。
鬱先生の問いに、コクッと無言で頷く。

ut「わかった。一つだけ聞いてもええ？」

『何でしょうか？』

ut「言い方悪いかもしれへんけど、ずっと黙ってるっていう選択肢もあったのに、なんで言ってくれたん？」

それは、と一瞬口ごもる。でもちゃんと伝えなくちゃ。

『ここに住まわせてもらってるので、その等価交換になればと思って･･･』

さっきの話に価値があるかは分からないですけど、と付け足す。
チラッと鬱先生を見ると、想像よりもずっと優しい表情をしていた。

ut「そっかぁ。言いにくかったやろうに、言ってくれてほんまありがとうね。最初に言ったように、好きなだけここにおってかまへんからね？」

優しく微笑み、ポンポンと私の頭に手を置く。
その行為に少し照れ臭くなり、ありがとうございます、と俯きがちにお礼を言う。

ut「じゃあオレは部屋に戻るけど、何かあったら呼んでな」

そう言って鬱先生は部屋を出ていった。
緊張していたためか鬱先生が出ていった後、崩れるようにベッドに横になる。

予想外の反応だった。
何か言われるかと思ったが、意外にも鬱先生は何も言わなかった。
その事が私にとって、一番の救いだった。

話したところで現状が変わった訳ではないが、話す前よりは気分が幾分晴れやかになったような気がする。