【wrwrd】自由になれるものならば (ページ16)

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15話　-zm side- ページ16

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目が覚めると、いつの間にか寝とったみたいで朝になっていた。体には自分ではかけた覚えのないものもかかっとる。体を起こすと、自分と同じく寝落ちしたであろうみんなの姿が目に入る。みんなにも自分と同じタオルケットがかけてあった。

(大先生がかけてくれたんやろか)

そんなん今までしてくれたことあったかな、と思い返してみるが多分ない。どういう風の吹き回しなんやろ。

ut「......っん...」

タイミングよく大先生が起きた。ちょうど起きたところやし聞いてみるか。

zm「はよ。これかけてくれたんは大先生なん？」

大先生は不思議そうな顔をするが、すぐに言っとることを理解したようで、「オレやないで」と返す。

(じゃあ誰が？)

ut「Aちゃんがみんなにかけとったで。オレは運ぶのを手伝っただけや」

(彼女が...？)

ソファで横になっとる彼女をそっと横目で見る。まだすぅすぅと眠っているようだ。

ut「顔には出しとらんかったけど、みんなが思っとるよりオレはいい子やと思うで」

見透かされとったんか。そりゃあ、下の名前と年齢しか知らん相手を信じるまではいかんくても、認めるっちゅうのも難しい話や。
せやけどそないに怪しむ必要はないのかもしれん。

こないなことで少しは信用していいと思うのは単純かもしれんなんて分かっとる。
でも人と人の信頼関係ってそういった単純なことの繰り返しで築いていくもんやもんな。

ut「Aちゃんが起きたら、お礼でも言ってやってや」

照れ臭くてまだ名前でも呼べそうにないけど、お礼は人としての礼儀やからちゃんと言わんとな。

もう一度、寝とる彼女を見て大先生に気付かれんよう、優しく微笑む。