【wrwrd】自由になれるものならば (ページ2)

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1話ページ2

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逃げろ＿＿＿＿

逃げるんだ。

走るのをやめちゃダメだ。捕まってしまう。

髪がすっぽり収まっているキャップを時折押さえながら、大阪の街を走る。

男「おいっ、待てや！このクソガキッ！！！！」

後ろから怒号が聞こえる。私を追っている男性の声だ。声の大きさ的にある程度距離はある。

(どうにかして撒かないと･･･。どうすればいいの)

とりあえず人通りの多い場所に行こう。そうすれば相手も下手なことはできないだろう。
道はわからないが、歩いてる人が多く向かってるほうに行こう。走ることは止めずに。

周りから、「えっ、なに？」みたいな視線を浴びせられるが気にしてはいられない。
何回か曲がり角を曲がると、段々と通行人が多くなってきた。

(このぐらいの多さなら、人混みに紛れられるかな･･･)

木を隠すなら森の中、って言うもんね。曲がり角を曲がると、あるグループが目に入る。男性5人ぐらいのグループ。身長もそこそこある。

(あそこに紛れたら撒けるかな)

撒かなかったら...いいや、一か八かに賭けるしかない。ダメだったらその時考えよう！
チラッと後ろを見る。私を追っている男は見えないが微かに声が聞こえる。このぐらいの距離なら隠れる瞬間は見られないだろう。

歩道の建物側を走ってそのグループに近づく。建物と1人の男性の間に入り込み、『ごめんなさい、助けてください』と男性を自分のほうに引き寄せる。

「えっ、えっ？」と戸惑っている声が聞こえるが、説明している暇はない。息を潜めてバレないようにしなきゃ。ﾄﾞｸﾝﾄﾞｸﾝと胸が高鳴る。もちろん、嫌な意味で。

(早く通り過ぎて･･･)

男「あんのクソガキ、どこ行ったんや･･･」

そう言って男は目の前を通り過ぎて行く。

(バレて...ないってことだよね？)

なんとか撒けたことに、ひとまず安心する。ようやく少しだけだが心に余裕が戻ってきた。
覗き込むように、盾にした男性を見上げる。黒髪で眼鏡をかけていて、失礼かもしれないがちょっと胡散臭いような雰囲気だ。その男性も困ったようにこちらを見ている。この男性と一緒のグループであろう他の男性たちも、あまり歓迎しているような雰囲気ではない視線で私を見ている。

(説明するのも面倒だなぁ。お礼だけ言って去るか)

『すみません、助かりました』とだけ告げ、私を追っていた男とは逆の方向に早歩きで歩みを進める。

(また探さなきゃな･･･)