Ryuji ページ21
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「Aさん、しっかりしてください」
「ん〜、なあおとさぁん…?」
「違うよ、隆二」
「りゅうじぃ?」
「そう」
「じゃ、りゅーじさんだね!」
ぎゅ、と抱きついてくる泥酔したAさん。
呆れながら運転手さんに場所を教えると、意外と近めらしかった。
「隆二さん、どこ行くのぉ??」
「どこだと思う?」
「んー…直人さんのとこっ!」
「ちょっと違うかな?」
「みて!!これが直人さん♡」
俺の返事も聞かずにそう言う彼女の手の中の携帯には笑顔で写る二人の男女が。
かっこいいけど、可愛いよりな人。
こんな人がタイプなのか
…まぁ彼女が割と大人だからかな。
「直人さんがねぇー、この前ね?」
ここでも直人さんか…。
まあそうだろうけど、これ好きな人だったらすげぇ傷つくよね?
それにトロンとした瞳で、
見つめてくるAさんは朝会った彼女とは別人。
なんていうか、すげぇ、色っぽい。
やべっ
気づけば、彼女をぎゅっと
抱きしめ返してる自分がいた。
すげぇいい匂いするし、
誘ってるとしか思えないんだけど。
「隆二さん?…どーしたの?」
「なんでもないよ」
ゆっくりと離せば、きょとん としたAさんの顔。
思わず顔を近づけると同時に、減速したスピード。
「お客さん、着きましたよ」
「ありがとうございます。これ」
「お釣り…「あ、大丈夫です。ありがとうございました」
「は、はい」
俺は素早くタクシーから降りて、
反対側から彼女を抱き上げドアベルを鳴らした。
…今のは少し、危なかったかも。
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作者名:あき x他1人 | 作成日時:2019年12月28日 23時