あたたかさ ページ10
年が明けてしばらく経ったあと、
一緒に初詣に行った。
一緒に雪だるまも作った。
そして、合格発表も一緒に確認した。
結果は無事合格。
僕も内定が決まり4月から会社で働くことになった。
君は大学に行くまで、
僕は会社に行くまでしばらく休みがある。
だから最近は毎日一緒にいる。
午後15時
君とコンビニに寄った帰り、
桜の花びらが舞っていた。
桜は宙を舞い君の髪に着地。
「A、待って笑」
長い髪に紛れた桜を髪の毛先まで動かしてとってあげた。
「ふふ、着いてた？笑」
「うん笑」
「桜、見に行かない？」
遠回りをして桜並木の下を歩いた。
桜を見ながら2人の過去を振り返る。
「多分私この辺で北斗の車とぶつかりそうだった笑」
「あー、笑」
「私あの時本当に怖かったんだよ？笑」
「ごめん、笑」
「…言ったことなかったけど、僕はあの時少しだけ…
少しだけね？このまま死んでもいいって思ってた笑」
「え？」
「明日が見えない日々が続いてたから」
「でも今は、まだ生きていたいって思う」
「君がいるから」
「私も同じこと思ってるよ笑」
君は繋いだ手を前後にブランブランと揺らしながら話し続ける。
「さくらって綺麗だけど、」
「なんでこんなに懐かしく思えるんだろう」
「…懐かしく思える、とは、、？」
「見上げる度にいつも昔を思い出しちゃうから」
「私だけ、？笑」
「何年前にさくらを見た時はこんなこと思ってたな、とか」
「…へぇ、」
「そんなこと考えたこともなかった」
「いややっぱり考えてるの私だけなんかい笑」
「Aだけだよ笑」
あたたかい陽の光と、空気感と、君の手。
今すごく、幸せだ。
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作者名：Kakityann | 作成日時：2024年2月26日 19時
