言いたいこと ページ22
電車に揺られ家へ帰る。
肩に重りをつけられているような気だるさがある。
毎日が残業、
上司には酷い言葉を浴びせられる、
逆らうことはできない。
なぜこの仕事を選んだのか、、考え続ける毎日。
唯一の癒しである君に会えないことも、話せないことも、
僕にとってはつらすぎることだった。
でも今日は君に会えるから、
昨日から今日の分の残業をこなしておいた。
PM20:00
こんな時間に帰れるのは久しぶりだった。
帰ってきたらどんな反応をするかな、
抱きついてくれるかな、
考えるだけでニヤけてしまう。
鍵を開け、恐る恐る扉を開く。
「ただいま…」
…
「あ、北斗…」
「今日は早いんだね、」
心にチクリと針を刺されたような感覚になった。
「ああ、うん」
「Aに会えるから昨日頑張って今日の残業減らしといた」
「…そうなんだ」
何だか様子がおかしかった。
「…A、大丈夫？」
「え、？」
「なんか、、暗い顔してるけど」
「あ、うん大丈夫、ぜんぜん笑」
「それ、大丈夫じゃないでしょ？」
「…話して」
「大丈夫だって笑」
目を逸らし逃げようとするAの肩を掴む。
「A、僕の目を見て」
君の目は潤んでいた。
「…なんで？」
「なんで私には話してくれないのに
北斗に”話して”って言われたら話さなきゃいけないの？」
声が震えていた。
「…なんのこと、？」
「じゃあ、これ何？」
君はゴミ箱の中から睡眠薬の空を取り出す。
「あ、、これは…」
「寝れてないの？」
「…」
「寝れてないんでしょ？」
「うん、」
「なんでそんなこと私に言わないの？」
「なんで冷蔵庫はいつもビールしか入ってないの？」
「なんで私はいつも北斗の家で1人ぼっちで待ってるの？」
「…なんでよ、」
畳み掛けられるように言われる言葉一つ一つには、
なぜだかすごく重みがあるような気がした。
「…ごめん、心配するかと思って…」
「こんなの心配するに決まってるでしょ？」
「でも僕は、君の笑顔が見たくて」
「これで？これで笑顔になると思う？」
「私は北斗のことばっかり考えてて、
最近は、すごくつからった…」
その言葉を聞いた瞬間、心が壊れる音がした。
今1番聞きたくなかった言葉を言われてしまった。
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作者名：Kakityann | 作成日時：2024年2月26日 19時
