おうち5 ページ17
「北斗、おはよう」
「んん…」
私は北斗にキスをする。
「おはよう、A」
「もう、寝たフリやめてよ笑」
「あー、いい朝だなー」
「絶対私より早くから起きてるでしょ笑」
「ちゃんと寝れたの？」
「Aのおかげで、久々にぐっすりです」
「ほんと？笑」
私は大学の準備、北斗は仕事の準備する。
「ね、北斗、駅まで一緒に行こうよ」
「いいよ」
2人で手を繋いで駅まで行く。
路線が違うから改札の前でバイバイをした。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
北斗が私に耳打ちをする。
「…みんながいるからチューはできないよね？」
「こんなとこでしないよ！笑」
「えー、、じゃあ、、」
北斗は頬にキスをした。
「っ！！」
「行ってきまーす♪」
何事も無かったかのように改札を通って行ってしまった。
北斗の背中がなんだか寂しさを隠しているように見えた。
私は心の中で神様に祈る。
どうかあの人が今日も明日も、笑顔でいられますように…
そして私も反対方向の改札を通り大学へ向かった。
いつも北斗のことは考えているけれど、
今日はいつも以上に北斗のことを考えていた。
心配していた。
「なあ、大丈夫？」
「…」
「え？聞いてる？」
「…あ、、、！樹、ごめん」
「今日ほんと目死んだ魚みたいだけど笑」
「その表現やめてよ」
「今日空いてる？」
「ストレス発散にカラオケでも行かね？」
「行きたい！…けど、今日バイトあった、、」
「えー」
「…大丈夫かよ」
「え？大丈夫だよ笑」
「…ならいいけど」
樹はなんだかんだ私が元気ない時に気づいてくれる。
その優しさが嬉しい時もあれば、つらく感じる時もある。
大学が終わり、そのままバイトへ行った。
飲食店、、というかファミレス。
毎日人が多くてオーダーが鳴って歩きっぱなし。
それでも今日の電話のことを考えながら頑張った。
PM 21:30
「22時に電話するね」
と、メッセージだけ送ったけど既読はついていない。
PM 22:00
電話をかける。
プルルルル…着信音だけが響く。
昨日のことを思い出す。
忙しいことはわかってる、
それでも会いたくなってしまう。
ワガママを聞いて欲しくなる。
自然と涙が浮かんでいた。
今日のために頑張ったのに、、、
その日は結局、北斗は電話に出なかった。
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作者名：Kakityann | 作成日時：2024年2月26日 19時
