おうち4 ページ16
「ちょっと、ブラックなところかもしれなくて…」
北斗の話は聞いていてつらいものだった。
新入社員の洗練と言われ
今まで夜遅くまで上司が残した残業をこなしていた。
上司からの言葉もきついものが多く、
パワハラは酷くなる一方だった。
それを話す北斗の顔はとても暗かった。
「話してくれてありがとう」
「ううん、聞いてくれてありがとう」
…
「これ、作ってくれたの？」
「うん」
「美味しいね」
「本当に？」
「すっごく美味しいよ」
「作ってくれてありがとう」
「んーん、いいよ」
本当は出来たてを食べて欲しかった。
レンジで温めてから食べるとこんな味になっちゃうのか。
「…でもさ」
「なんで今までそんな大事なこと私に言わなかったの？」
「心配するかと思って、」
「…心配するよ、そんなの」
私の目には涙が浮かびそうだった。
冷めてしまったオムライスのせいか、
暗い北斗の顔のことか、
理由はごちゃごちゃしていてよくわからないけれど。
でも、我慢した。
泣きたいのは北斗の方だろうから。
「これからは言ってね」
「うん、わかった」
食器を片付け、北斗はお風呂に入る。
すこしゆっくりしてから私はベットに入った。
「お風呂、あがったよ」
「もう寝るの？」
「うん」
「寂しいから早く来て」
「わかったよ」
ベットの中で、北斗に抱きしめられる。
「今日はいろんなことあったけど、でも、」
「Aがいたから、元気でたよ」
「ほんと？」
「うん」
「正直今日Aに会えなかったら、、」
「多分、すごいしんどかった笑」
「うー、、、」
「泣かないで笑」
北斗は私の涙を指で拭う。
「やっぱりAといるとパワーをもらえるよ」
「つらいとAに会いたくなるから、
Aの笑顔を見たくなるから、、」
「だから、僕より悲しそうな顔をしないで」
「、わかった、、」
私はもっと強く北斗を抱きしめる。
そして泣きながら言う。
「うぅ…今日北斗の冷蔵庫見たけどビールしか入ってないし」
「ちゃんと食べてよ、、」
「ええ、冷蔵庫見たの？笑」
「他にもいろいろ見たよ、、」
「ほんとにこの部屋なんもないし」
「すごい寂しかった、、」
「ごめん、笑」
「明日は大学だから、夜電話しようね」
「わかったよ笑」
「おやすみ、北斗」
北斗が寝てから、私はベットの中で静かに泣いた。
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作者名：Kakityann | 作成日時：2024年2月26日 19時
