遠距離 ページ12
前は週1のペースで会えていたけれど、
今は2週間に1回くらいになってしまった。
会えない分、今度会える日が楽しみになった。
そのために頑張るようになった。
互いにスケジュールを確認し会う日を作る。
寂しい時は寂しいと言う。
会いたい時は会いたいと言う。
ただ、それだけ。
我慢はしなくていい。
素直になればいい。
夜は電話をする。
一日の出来事、だいたいぜんぶ。
でもやっぱり顔が見れないのは寂しい。
「ねえ、北斗」
「うん？」
「寂しい」
「僕も」
「会いたいよ」
「僕も会いたい」
「…明日、北斗の家行ってもいい？」
「いいよ」
「寂しくなったらいつでもおいで」
「…やっぱり、今からは？」
「今から？笑」
「うん笑」
「わかった、いいよ笑」
「ほんとに？！やった！！」
「駅で待ってるから気をつけて来てね」
北斗は急なワガママもお願いも優しく聞いてくれる。
私は会いたい気持ちを抑えられなまま北斗の元へ向かう。
バス、電車、、本当に遠くに行ってしまったことを感じる。
ホームに着いて階段を降りる。
改札のすぐ側に北斗の姿が見えた。
自然と上がる口角。
心の中で何度も北斗の名前を呼ぶ。
早く気づいて…！！
抑えられずについ「北斗！！」と言ってしまう。
振り返る北斗に私は抱きつきに行く。
「北斗！！！」
「A！笑」
北斗は力強く私を抱きしめる。
「ねぇ、苦しい笑」
「会いたかった…」
「私も会いたかった」
距離はたしかに遠くなったけれど、
会いたいと言えば会える。
名前を呼ぶと抱きしめてくれる。
それだけで充分なくらい幸せを感じられる。
手を繋ぎながら北斗の家へ帰った。
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作者名：Kakityann | 作成日時：2024年2月26日 19時
