夏祭り ページ1
大学に行ってから時間の流れが早くなった気がした。
大学終わり、ガタゴトと揺られる電車の中。
次々と変わっていくオレンジに染まった景色。
額に流れてくる汗。
気づけば6月後半。
僕の前にはたしかに真夏が近づいてきていた。
蒸し暑い、、、、
でもどんなに暑くても、
僕には今日、必ず守らなければいけないことがある。
それは、君と夏祭りに行くこと。
ホームに着いてからバスに乗り換え、喫茶店へ向かう。
課題に追われる毎日だけど、
君がいるから頑張れる。
君に会うためだけに、生きている。
チリンチリン
厚みのある木製の扉を開く。
ゆったりとしたbgmだけが静かに流れている室内。
「ただいま」
最早もう1つの家と化してきている喫茶店。
…あれ、返事がない。
「ただい…」
「おかえり…なさい」
照れくさそうにキッチンの奥から出てきたのは
浴衣姿の君だった。
僕は数秒、瞬きを忘れてしまった。
いつものポニーテールは綺麗にまとめられ、
薄いピンク色の浴衣はとても似合っていた。
「かわいい、、、」
「…ちょっとちょっと、」
「こんなに可愛くなったのは誰のおかげ？」
「あ、おばさん…！」
「Aちゃん、頑張っておめかししてたよ」
「たくさん目に焼き付けな笑」
「ありがとうございます、笑」
「あ、、そうだ、あとこれ、、」
そう言って北斗はカバンの中から
白いお花の髪飾りを取り出します。
「これ…渡したかった」
そしてあなたの髪にその髪飾りを留めてあげます。
「うん、もっとかわいくなった」
そして僕は君の手を取り歩き出した。
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作者名：Kakityann | 作成日時：2024年2月26日 19時
