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カメラに自分が写る。 深夜にも関わらず右のモニターに写ったコメントがものすごいスピードで流れていくのを見て、私は声を出した。
「あー、あー、聞こえてる?」
『きこえてるよー！』
『夜見今日も配信ありがとう！』
そんなコメントがたくさん届く。それをみて私は今日も嘘をつくのだ。
「今日も来てくれてありがとう。今日は何話そうか」
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配信を終え、モニターやパソコンの電源を落とす。
一息ついて後ろに倒れ込んだ。
フローリングなので体を打ち付けて痛いが気にしない。
手に持ったスマホを見る。午前4時。1時間程配信をしていたことになる。
だるくて重い身体を引きずり、何とか冷蔵庫までたどり着き、中身を見る。
「何もな……やば……」
どうでもいいのだ。2缶だけ入っていたビールのうち1缶を取り出し、開けてビールを口に含んだ。
飲みながら自分の部屋を見渡し、肩を落とした。酷い有様だ。
配信を見てくれたり、ヒーロー活動を応援してくれているファンの人達は揃って私のことを綺麗好きでしっかりした女性と思っているようだが実際は違う。
片付けは大の苦手だ。しっかりなんてしてない。そんな事言わないけど。
缶を机に置いて、大量に溜まった洗濯物の山を洗濯機に入れる。
今日はこの柔軟剤にしようか。なんて考えて持ち上げたボトルは軽く中を見ると案の定空で、一気に萎えた。
はー、と溜息をつき目を閉じると配信のコメントが瞼の裏に浮かんだ。
『夜見はいつもキラキラしてるね』
してないよ、わたし。
嘘を塗り固めた、本当の私は誰からも必要とされない。
ヒーローや配信と私生活のギャップが凄いと自分が疲れるのだ。
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作者名：空き缶 | 作成日時：2024年2月8日 19時
