伍拾陸ノ命令 ページ9
ht「ねぇ、なんでAは総統になったの？」
橙色の夕陽に照らされながら無言で歩いているとひとらんがそう俺に問い掛けた。
『なんでなったか､､､難しいな』
ht「そんなに難しいの？」
『嗚呼、とっても』
ht「､､､そっか」
ひとらんが少し寂しそうな表情を見せる。
『言えない訳じゃ無いんだ､､､なんて言えば良いか悩んでな』
ht「包み隠さずさ、真正面から俺に伝えてよ」
そう言うとひとらんは俺の前に走り込み顔を此方へと向けた。
ht「ほら、どうぞ」
『そう、だな､､､､､､皆に、必要と､､､されたかったから､､､』
ht「必要と､､､」
『嗚呼、そうだ。必要とされたかった､､､悩んでいた父親に､､､苦しんでいた母親に必要とされたかった』
『俺は結局力不足だったらしくてな、二人からは必要とされなかった』
ひとらんが哀しそうな表情を見せるから心配しなくて良いという意を持って笑って見せた。
ht「そんな事無い､､､」
『はは、其れがそんな事あるんだ。あるから俺は二人を救えなかった､､､救えた筈だったのに､､､救えた筈だったのになぁ､､､』
ht「､､､Aがどんな思い抱えて生きてるか分からないけどさ、今Aはきっと総統として国民に必要とされてるよ」
『国民から税を徴収してるだけなんだけどな』
ht「其れも上回る何かがAにはあるんじゃない？」
『だと良いんだけどな』
ht「親に必要とされなかったAの辛さは俺には分からないけど、俺は今、Aの事を必要としてる」
必要と、必要とされている。
自然と顔が綻ぶ。
ht「だからさ、そんなに強がらないで、弱い所も見せてよ」
『､､､嗚呼。機会があればな』
必要としてくれているなら､､､其の期待に応えるまでだ。
父さん、俺は人に必要とされる位強くなった。
国民も、目の前の
今俺が貴方の前に現れたら、貴方は俺を必要としてくれますか？
其れとも、また、俺から遠ざかってしまいますか？
俺に恐怖を植え付けた儘、また何処かへ消えてしまいますか？
俺の命ももう長く無いから､､､死ぬ前に一度だけ、貴方に必要とされたかった。
なんていう俺の望みは貴方にとったら贅沢な悩みで、邪魔な想いでしょうか。
ht「Aどうしたの？早く帰ろ」
『嗚呼、すまないな、少しだけ考え事だ』
貴方の事を考える前に俺は、今一番近くて、遠くに居るの事を考える事にします。
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楽譜(プロフ) - あまねさん、コメントありがとうございます！好きと行って頂けて嬉しい限りです( *´꒳`*) (3月6日 20時) (
レス) id: de0bd4f93a (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - めちゃすきですー！ (3月4日 23時) (レス) @page18 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楽譜/Gakufu | 作成日時：2023年12月27日 15時
