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熱狂的なファンは、アンチになりやすい。

それをAは知っていた。


いや、実感したという方が表現が正しいのかもしれない。




「やまと、やって。」


Aからやまとに甘えに行くのは珍しい。ドライヤーを手に、やまとの足の間に座った。


やまと「…ん、」


やまとはAの髪をそっと優しく乾かす。大事に大事に、壊れないように。そんな触れ方だった。




ゆうた「なにがあったかは、わかんないけど、Aが解決させてきたんだろうなあ。」


あむぎり「そんな気がする。」


ゆうま「敵わないなあ、Aには。」


ひゅうが「相手となにがあったとしても俺は許せねーけど、Aが笑ってるからとりあえずはそれでいいや。」



やまととAを眺めながら、内心は羨ましくも思いながら、メンバーはAのことを口にした。

Aは、強い。

それが、脆い強さであることもまた、皆知っていた。



ひゅうが「(俺らで守るって決めてたのに、だせぇ。Aに守られてばっかりだ。)」


ゆうま「(Aは強いけど、弱いんだから。ちゃんと見ていないと。)」


あむぎり「(目離したら、どっか行っちゃいそう。…ちゃんと手、繋いでてねA。)」



ドライヤーを器用に使いながらAの髪を乾かすやまと。


やまと「もう絶対、こんなことにならないようにするから。」


「なーにやまと?ドライヤーの音で聞こえないよ?」


やまと「何でもなーい。」


「聞こえないってー(笑)」



ゆうた「(笑ってて。お願いだから、誰の腕の中にいてもいいから、笑ってて。)」



ゆうたの願いはAには伝わっていない。


それでもいいと、全員が思う。



Aが笑っていれば、それでいい。

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作者名:aki | 作成日時:2022年4月9日 7時

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