もうひとつ(fkr) ページ5
なんでもない日常。朝目が覚めさたら愛おしい人が居て、他愛ない会話をして、一緒に通勤する。
「最近寒くなってきたね」
「ね、雪降るかな」
しっかりと繋がれた手は暖かい。
「今度の金曜日、休み取ったから」
「なんで?」
「一緒に居たいなって思ったから」
「私は仕事だけど、」
「それならAの分もちゃんと申請しておいたから」
「抜かりないって?」
「俺を誰だと思ってんの?」
「ふわふわして見えるけど、実はやり手なふくらさん。たまに言うことが怖いと一部で有名ですよね」
「、、今日の仕事増やすよ?」
「そしたら帰り遅くなるだけだよ?一緒に帰れなくなるけどいいの?今日の夕ごはんハンバーグの予定だったけど、簡単に野菜炒めかなあ」
「それはやだ」
なんだかんだ俺よりやり手なAに翻弄されつつ、今日もオフィスへ一番乗り。
「あれ?」
「どうしたの?」
「伊沢が寝てる」
「ほんとだ。もう、こんな所で寝て」
自分の席からひざ掛けを取ってきて伊沢に掛けてやるAを見て、少しだけ妬いたのは内緒。
「昨日ってテレビの仕事?」
「うん。終わったら打ち上げって言ってたから家よりここのが近かったのかもね」
「今日は?」
「今日はオフィス内仕事しかないし、まだ寝せといてあげようか」
「まあ皆来たら起きるかもね」
ほとんどの社員が出社した頃に伊沢は起きた。
「んー、、あれ、もう朝か」
「なんなら昼近いけどね」
「まじ?てかこれ誰の?いい匂いすんね」
「ばか」
「いった!叩くことないじゃんよ」
Aのひざ掛けを抱き締める伊沢を少し強めに叩いたのは伊沢の自業自得だと思う。事の成り行きを見ていた山本が笑う。
「伊沢さん、それAさんのですよ」
「マジで!?ごめん、ふくらさん」
「俺じゃなくてAに謝って」
まあ彼女はそんなこと、って笑うんだろうけど。ほら、今も伊沢は苦笑いしてるのにAは変わらない笑顔だもん。
そういうところが好きなんだけどね。
「ああ!もう、ぐちゃってしないで」
「だって丸くなんてならないもん」
一緒にハンバーグのタネを丸めるのも、キッチンで作業するのも、どれもこれもが楽しい。大変なこともあるのは確かだけど。
「ねえ、A」
「ん?なあに?」
「もうひとつ記念日をつくろうか」
世界で一番幸せにしてあげる。
▽▽
最後のセリフを言わせたかっただけのお話。ふくらさん票頂いた分の還元にはまだ足りない、ですかね。
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柊 - 亜杞さん» 分かります…!唐突に頭の中にメロディー流れてくるんですよね…私もまさかここで目にするとは思ってもいませんでした…あれをつかってこんな素晴らしい作品が書ける亜杞さんこそあんたすげーよ!(です!!) (2022年6月21日 18時) (レス) id: c57341bca6 (このIDを非表示/違反報告)
亜杞(プロフ) - 柊さん» 正解TMYです!私未だに口ずさみたくなっちゃうんですよね。まさかご存知の方がいらっしゃるとは……柊さん、あんたすげーよ!(これが言いたいが為にレス書き直しました) (2022年6月19日 23時) (レス) id: 892b969d86 (このIDを非表示/違反報告)
柊 - 焼きそばの校歌ってTMYですか…?間違ってたらすみません…気づいて少し懐かしくなりました (2022年6月19日 18時) (レス) @page34 id: c57341bca6 (このIDを非表示/違反報告)
亜杞(プロフ) - akiakiさん» 身に余るお言葉ばかり恐縮です。ありがとうございます!策士なfkrさん書きたがりなので楽しんで頂けると嬉しいです。過去作も新作の方もよろしくお願いいたします。 (2022年4月17日 14時) (レス) id: 892b969d86 (このIDを非表示/違反報告)
akiaki(プロフ) - 読んでる途中ですがもうこのお話たちが好きすぎて、、、色合わせのfkrさん、自分のものじゃん!策士〜!その方らしさを出しながら、素敵なお話を書かれていて尊敬します。これからも楽しませていただきます! (2022年4月17日 10時) (レス) @page46 id: aa9a6e18cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜杞 | 作者ホームページ:
作成日時:2021年1月14日 20時