フラクタル構造とはなんぞ？２

仕事人間(izw) ページ4

甘い恋愛小説や漫画みたいな恋なんて、そんなもの所詮作り話だ。

「伊沢さん、次のスケジュールですけど」

「んー、、、はあ、」

「聞いてます？」

「Aさんてさー、彼氏と上手くいってる？」

「はい？」

「俺が仕事で忙しいってことはマネージャーであるAさんも当然忙しいわけじゃん？どうなのかなーって」

「そうですね。お陰様で忙しいあまりにフラレたばかりですけど、なにか？」

「え、、は！？マジ！？」

「で、明日はテレビ局に9時入りなので遅れないようにお願いしますね」

「はい。え、マジでフラレたの？」

「、、傷抉って楽しいですか？まあ、全く未練など無いですけど」

仕事か恋愛か、その２択を迫られたから仕事を取った。ただそれだけ。恋愛だけで生きてはいけないから。

「Aさんて実は逞しいよね」

「肝が据わってなければこの世界ではやっていけませんから」

「ふーん？」

「伊沢さんもくれぐれも注意してくださいね？」

「へ？ああ、俺は大丈夫。クイズが恋人だから」

「それは人としてどうなんですか？」

「まあまあ、余計な揉め事起こすより健全でしょ？うちの連中も大体そうだし」

「そういえばオフィスへの取材依頼もきてましたけど、こちらはどうします？」

「んー、オフィスの方はふくらさんに回して。多分大丈夫だと思うけど」

「ふくらさんからは“こっちは大丈夫たけど、一応伊沢さんに聞いて”って託されましたけど」

「マジ？さすがAさん。先にふくらさんに聞いてくれたんだ。そうだなあ、テレビとか予定ない日ならいつでもいいや」

「オフ無くなりますよ？」

「断ったら仕事無くなるでしょ？」

テレビよりYouTubeよりの笑顔でニヤリと笑う彼にため息をついて、スケジュール張の唯一の空欄に“オフィス取材”と書き込んだ。



「ねえ、今日ってもう終わりでしょ？」

「そうですね。今日も１日お疲れ様でした」

「よし！じゃあさたまにはご飯でも行かない？」

「私と、ですか？」

「彼氏と別れたなら俺とご飯行っても大丈夫ってことでしょ？」

「まあ、そうですね。会食というなら別に」

「仕事じゃなくてさ、プライベートなお誘いなんだけど」

「、、はい？」

「今すぐじゃなくていいからさ、俺のこと彼氏候補にしてみない？」









「伊沢さ、最近仕事詰めすぎじゃない？」

「ん？これも作戦のうち」

「はあ、Aさんが可哀想だわ」

「やっと彼氏と別れたんだって」

「伊沢に靡くとは限らないけどね」

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