フラクタル構造とはなんぞ？２

敵いません(fkr) ページ13

２月14日、世の中の片思いしている男女のおよそ８割ほどはこの日に期待をしていることだろう。

かくいう私もその１人。手元の紙袋には昨夜遅くまで時間をかけた手作りチョコ。そしてメッセージカード。

気持ちを伝えるなら手作り一択！と周りの女性陣に感化され、慣れない作業を頑張った。おかげで家のキッチンは甘ったるい香りに包まれてしまったが。

「ふくらさん」

まだ他の社員も出社していない時間にわざわざ来たのも、ふくらさんにこれを渡すため。

「ん？なに？」

「あ、の、今日バレンタインじゃないですか。なので、これ受け取って下さい」

紙袋を差し出すと、ふくらさんは一瞬驚いたような顔をして、すぐにふにゃりとした笑顔に変わった。

「ありがとう」

「いえ、それじゃあ」

渡すという最大ミッションを達成し、一気に肩の力が抜ける。なんだ、思ったより難しいことじゃないじゃん。

「あ、Aちゃん待って」

「はい？」

「これさ、みんなにも上げるの？」

「え、、ああ、みなさんにもチョコはあげますよ？」

ふくらさんのほど凝ったラッピングはしてないけど、みんなの分はちゃんと用意してある。

「それじゃあ、これは義理なの？」

「へ？」

「まあそうだよね。Aちゃんが俺に、わざわざ(・・・・)みんなと別のもの用意するわけないか」

「いや、あの？」

「あ、大丈夫。ちゃんと美味しく頂くから。ありがとね」


ニッコリ笑うふくらさん。これは誤解を解かなきゃ！



「ほ、本命、です。それ」

「本当に？」

「本当です！」



これはもう、言うしかない。



「わ、私ふくらさんのこと好きです。仕事わからないこと丁寧に教えてくれるし、パズルやってる楽しそうな顔も好きだし、、えっと、他にもいっぱい、」



「ふは、俺のことめっちゃ好きじゃん」


な、なんか笑われている？


「やっぱり告白って直接言われたいじゃん？」

彼の手元には私が書いたメッセージカードがいつの間にか広げられていた。



私の想いはバレバレだったと聞かされるまであと少し。

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