続き ページ31
「川上の退職が決まった」
普段と変わらない口調で、伊沢さんは確かにそう言った。
「本人から発表するまではみんな口外しないでほしい」
最近になって、冷静に考えることが出来るようになった。
川上さんとAが話さなくなって、俺は彼女から“好き”をもらった。今までなかった返事を沢山もらえた。
やっと、やっと、手に入れられた。
川上さんが出社する最終日、
「最後に、Aと２人で話をさせてほしい」
全員の前でそう言った。周りは、
「やっと告白か！？」
なんて騒いでいたけど、俺だけは無表情だった。
「こうちゃん、ちょっとだけAのこと借りるで」
俺の目を真っ直ぐに見た川上さんは、はっきりとそう言った。知ってたんだな、俺らのこと。
隣の部屋に消えていく２人を黙って見送るしかなかった。
「こうちゃん大丈夫？」
「、、なんで今更、何の話をするのか」
はは、と乾いた笑いをしてパソコンに向かう。度の合ってるはずのコンタクトも、今日は歪んで見えた。
「こうちゃんと、付き合ってたんやな」
「うん」
「２年前はそんな素振りなかったやん」
「自分を“好き”と言ってくれる人は、貴重だから」
「、、そうか」
川上と話さなくなって２年、なんで今こうやって向き合っているのだろう。
「俺、、Aのこと好きやった。今も、好きやと思う」
「なんで、」
「ごめ、「なんで、今さら！？」 っ、！」
「なんで、、なんで今なの？」
「っ、、ごめん」
両思いだった恋、叶うはずだった恋。
「答えは、わかってるから。だから、、言ってくれへん？」
「わ、、私も、、好き、、、」
「いいの？こうちゃん」
「まあ、、自分の可能性に賭けるしかないですね」
「でもAさんは、、」
ガチャ、と空いたドアの先には目を赤くした川上さん。
「こうちゃん」
「、、はい」
「Aが呼んでる」
「そう、ですか」
「ごめんな、ありがとう」
涙目で笑う川上さんはどこかスッキリしたようだった。
「A」
「こうちゃん、っ！」
抱き付いてきた彼女を優しく受け止めた。
「あのね、、川上に好きって、言われたの」
ああ、、やっぱり。覚悟はしてたよ。
「でも私は、こうちゃんが好きだから、ちゃんとそう伝えた」
「、、え？本当に！？本当に俺でいいの？」
「私はこうちゃんが好きだもん」
涙目で笑う彼女をぎゅっと抱き締めた。
「俺は、、愛してますよ」
▽▽
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にゃにゃ(プロフ) - ありがとうございます。ハマったところにこちらに出会えまして、あまりの幸せにめまいがしています。本当に素敵なお話たち。こんなにときめくと思いませんでした。ありがとうございます(ToT) (2021年11月8日 16時) (
レス) id: 2ad0412afb (このIDを非表示/違反報告)
亜杞(プロフ) - にゃにゃさん» そちらでしたか！１年前のお話でしたから書いた本人も忘れてましたwのんびり楽しんでくださいね！ (2021年11月8日 16時) (レス) id: 892b969d86 (このIDを非表示/違反報告)
にゃにゃ(プロフ) - 勝手がわかっておらずすみません。初めてこういう世界を知ったところで興奮状態で書き込んでおりました。「悪戯」の感想でした！読むお話が全部素敵で、少しずつ大切に読ませていただいてます。また感想書かせていただきます。 (2021年11月8日 16時) (レス) id: 8b6663a836 (このIDを非表示/違反報告)
亜杞(プロフ) - にゃにゃさん» コメントありがとうございます！「関係性」についての感想ですかね？kwmrさんぽい、と読者さまによく喜んで頂いております。他にもたくさんコメントありがとうございました！ (2021年11月8日 13時) (レス) id: 892b969d86 (このIDを非表示/違反報告)
にゃにゃ(プロフ) - 最後のところでたまらず声が出ちゃいました。河村さん、、！！皆の反応もほんとその通り、脳内再生されました。楽しいですね！ありがとうございました。 (2021年11月8日 10時) (レス) @page14 id: 8b6663a836 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜杞
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作成日時：2020年10月30日 0時
