続き ページ30
Aとは同い年だし、気楽に話せる仲で、ついつい距離感が近くなってしまうこともある。
「Aと付き合ってんの？」
「は？違いますけど」
「ふーん？実際どうなわけ？Aのこと嫌いじゃないでしょ？」
誰も居ない、伊沢さんと２人だけの執務室。
「好きか嫌いかの２択なら、好きなんでしょうけど」
「恋愛的な意味で？」
「それは、」
“恋愛”そのワードに引っかかる。
確かにAのことは“好き”だけど、それが恋愛としての好きなのかは正直わからない。
「ま、面倒事を起こさなければ自由にしていいけどさ」
「今は、、今は彼女とかより卒業するのが目標ですかね」
「そっか」
休学で留年が決まっている俺と、今年度卒業出来る彼女と、何となくついた“差”は俺の中で大きなものとなっていた。
「たくろー！あの記事今日締切だよね？」
「そう。終わったらデータちょうだい」
何気ない、いつものやり取り。
本当にいつも通り、、いつも通りのはずだった。
「これ、違うじゃん。なんで気づかんの？」
「え？」
「ここ、あとここも違う。ちゃんと確認したんか？」
「確認した、よ」
「じゃあ何でこんなことなるん？」
「、、ごめん、すぐ訂正する」
他の仕事も重なって、ついイライラしてキツく当たってしまった。
自覚はあったし、謝ろうとも思った。
だけど、謝り方がわからなくて、
１日、２日と経って気まずいまま、
必要最低限の会話以外しなくなって２年も経っていた。
こうちゃんに告白される前、私は川上が好きだった。
他愛ない話も、仕事している姿も、全部好きだった。考え方が似てて、一緒に居ることが楽だった。
ある日、伊沢さんと川上が話しているのが聴こえた。
今は彼女を作る気がない、と彼は確かに言っていた。
それと同じくらいに、こうちゃんから連絡がよく来るようになったり、ご飯に誘われるようになった。
好きな人と結ばれる可能性が低いなら、自分を“好き”と言ってくれる人と付き合いたい。そんな身勝手な理由から告白を受け入れた。
それでも川上への想いは消えないし、こうちゃんを心から好きとも言えなかった。
最低なことをしているのはわかっていた。
沢山の“好き”をくれる彼に、私は誤魔化すことしか出来なかった。
「私も好きだよ」
そう言えたのは川上と全く私用で話さなくなってから。
心に空いた大きな穴を埋めてくれたのは、他でもない
こうちゃんだった。
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にゃにゃ(プロフ) - ありがとうございます。ハマったところにこちらに出会えまして、あまりの幸せにめまいがしています。本当に素敵なお話たち。こんなにときめくと思いませんでした。ありがとうございます(ToT) (2021年11月8日 16時) (
レス) id: 2ad0412afb (このIDを非表示/違反報告)
亜杞(プロフ) - にゃにゃさん» そちらでしたか！１年前のお話でしたから書いた本人も忘れてましたwのんびり楽しんでくださいね！ (2021年11月8日 16時) (レス) id: 892b969d86 (このIDを非表示/違反報告)
にゃにゃ(プロフ) - 勝手がわかっておらずすみません。初めてこういう世界を知ったところで興奮状態で書き込んでおりました。「悪戯」の感想でした！読むお話が全部素敵で、少しずつ大切に読ませていただいてます。また感想書かせていただきます。 (2021年11月8日 16時) (レス) id: 8b6663a836 (このIDを非表示/違反報告)
亜杞(プロフ) - にゃにゃさん» コメントありがとうございます！「関係性」についての感想ですかね？kwmrさんぽい、と読者さまによく喜んで頂いております。他にもたくさんコメントありがとうございました！ (2021年11月8日 13時) (レス) id: 892b969d86 (このIDを非表示/違反報告)
にゃにゃ(プロフ) - 最後のところでたまらず声が出ちゃいました。河村さん、、！！皆の反応もほんとその通り、脳内再生されました。楽しいですね！ありがとうございました。 (2021年11月8日 10時) (レス) @page14 id: 8b6663a836 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜杞
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年10月30日 0時
