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名残惜しい気持ちを抱えたままコンクール会場の練習部屋を出て外に出る
外は少し蒸し暑く感じた。
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トントン
誰かに肩を叩かれ、後ろを振り向けばムニっと私の頬に指が刺さる
大「A」
後ろを振り向くと、私がずっと会いたくて触れたくて声が聞きたくて仕方なかった彼がそこにいた。
『っ、だい、ご…何で居るん…』
大「Aの晴れ舞台観に来てん」
『…はぁ?…連絡くらい、してやあ…』
その瞬間今まで堪えてた涙が一気に溢れた
大「ごめん、連絡出来ひんくて」
『ばかぁ…』
涙でいっぱいの私を彼は思いっきり抱きしめてくれた
大「演奏ほんまに良かった
…あんな感動したん始めてやった」
大「Aからしたら結果は残念やったかもしれんけど、俺にとっては満点以上
それにAが頑張ってたことは誰よりも分かってるよ」
徐々に優しい口調になっていって抱きしめる力が少し緩くなる
大「また来年もあるやろ? 次、頑張ろうや」
また来年、その言葉を聞いた瞬間にドキッとした。
今年が最後という事を大吾にはまだ伝えれていなかった。
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作者名:くる | 作成日時:2018年6月6日 23時