12/31を一緒に過ごす 中編 ページ5
決意したマレウスの目は、とても凛凛しい。なんとなく言われることがわかってしまったため、私は慌てて彼の口を両手で押さえようと立ちあがり、前に出た。
「そうはさせぬぞ、A」
私の行動を先読みしたマレウスは、両手を掴むと一纏めにし優しく壁に押さえつけた。
まったく痛みもないため、一瞬何が起きたかわからなかったが…ゆっくりと今の体勢を理解し顔に熱が集中した。
「離してください…マレウス」
「ペナルティが所望か？」
ふふっと笑う彼に不覚にも、胸がときめいてしまう。期待してしまう。
「う、離して。マレウス」
「そうだな、……いや、このまま聞いてくれ。離せばまた僕の口を塞ごうとするだろう？本当はクリスマスには答えを出していたのだ。Aが頑なに親のもとへ帰ろうとしないから言うタイミングがずれてしまった」
「あの、言おうとしてることはわかるよ。でもそれは口にしちゃ……」
マレウスはきっと、好きっていってくれようとしている。でも、それはダメ。彼は次期王様。一度口にした発言は取り返せない。
「口にしていいか悪いかは、僕が決めることだ。A、僕をみろ」
ああ、無理だよ。こんなの……。
彼からの優しい命令にもう、期待せずにいられない。脳がぴりぴりとしびれるような感覚。
抵抗していた体も、ぴたりと動かなくなる。
「僕の言葉を聞くがいい」
風の音も、誰かが廊下を歩く音もすべて遮断されてしまった。彼の言葉以外は、もう何も入ってこない。
「僕は茨の谷…次期王となるだろう。そして、闇の眷属たちの王でもある。そんな僕が、あとにも先にもAだけだと決めたのだ。
Aが卒業するまで、待つつもりだった。人間と我々の国情が落ち着くのを待つつもりでいた……だが、僕も一人の男だ。
ずっと考えてきた、だが答えは変わらない」
マレウスは一度口をつぐむと、その艶やかな唇を私の耳元へ寄せた。
そして、
「愛している」
と……そう、告げた。
その瞬間私は、全身の魔法力を吸われたのではないかと思えるほどの衝撃と、なんとも言えない幸福感に満たされた。
マレウスはそれに満足したのか、押さえていた手をどけると、私の腰を引き寄せた。
「言ってしまえば、よりいとおしく思うものだ」
「あ、……」
感謝を伝えたいがうまく口が回らない。マレウスは、気にするなと言うように額にキスを落とした。
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桜澤(プロフ) - レオナ先輩も…マレウス様も…大切だからこそ…思うことがあるし、守りたいんだなぁあ……愛されてる主人公…苦しみが少しでも和らぐといいな…といろいろ思いました。お久しぶりです！また何回も見にきますよー！(⌒▽⌒)わーい (2021年4月7日 11時) (
レス) id: 20b9b01cf5 (このIDを非表示/違反報告)
恋桜(プロフ) - ユノさん» ありがとうございます。更新は遅いですが、気長にお待ちください！ (2021年3月20日 19時) (レス) id: ae2ba33378 (このIDを非表示/違反報告)
ユノ - 分かりました、更新頑張ってください応援してます (2021年3月20日 14時) (レス) id: 2a665cb182 (このIDを非表示/違反報告)
恋桜(プロフ) - ユノさん» ユノ樣 閲覧ありがとうございます。イメージですか…。以前にも皆様からご要望を受けてはいるのですが、私は絵が不得意なもので、誰かにお願いしないと難しいです。どうぞ、好きなように想像してお楽しみください。 (2021年3月20日 14時) (レス) id: ae2ba33378 (このIDを非表示/違反報告)
ユノ - 夢主人公のイメージイラストが見てみたいです (2021年3月20日 14時) (レス) id: 2a665cb182 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：恋桜 | 作成日時：2020年11月3日 22時
