リターン人狼。 ページ31
顔を上げたのは、女子と見紛うような美少年だった。全体的に色素が薄くて、蛍光色のセーターが薄暗い室内で光っているように見えた。
「……こ、ここは？」
少年は不安げな目で辺りを見回した後、「……あ、そ、そっか」と呟いた。
「……ぼ、ぼく、人狼ゲームに参加させられちゃったんだ。……あ、あなたもそうなの？」
「あ、ああ、まぁ……えっと、君は？」
少年がおどおどしながら「……ぼ、ぼくは……」と言いかけた時、突然、部屋の中央にパッと明かりが灯った。
モニターの中央に、少し蛍光色っぽい赤色で文字が描かれたのだった。
『役職の種類を紹介する。今回の役職は、全部で四つある』
「四つ……？」
俺は眉をひそめた。前のゲームでは人狼と村人の二種類だったが、イルカが予言者や森番がどうのこうのと言っていたのを思い出す。
『役職は、人狼、村人、予言者、森番の四つ』
今まさに思い出していた役職に、俺は言い知れぬ不安感を覚えた。
――貴方がたこそが主役だから。
――テメェ、良い役貰えてンじゃん。
嫌な予感がした。このゲームでの主役とは、良い役とは、一体……。
『貴方の役職は――』
画面に表示されたのは、中央に牙を剥き出した狼の描かれた、分かりやすいカードだった。
ご丁寧に、下部分に“人狼”の文字もある。
「……人狼……」
「う……ぼ、ぼく、人狼、した事なくて……ど、どうしよう……う、上手く出来ないよ……」
自信なさげな少年の言葉は、人狼ゲームをするのが初めてという意味なのか、それとも、人狼役をするのが初めての人狼症候群患者か。
「……あ、あの、顔色悪いよ……？ だ、大丈夫、ぼ、ぼくが、上手く人狼やるから、だから、早く向こうに行こう……？」
少年は待っているのが怖いという風に、銀のドアの前に行き、立ち尽くした俺を振り返る。
「こ、今回は、予言者とか、森番とかいるから、む、難しいかもしれないけど……き、基礎は一緒だって、に、兄さんが言ってた……から」
俺は、のろのろと歩みを進めた。この先に待っている、処刑や投票、そんな現実が足枷のように俺にまとわりついて、前へ進ませてくれなかった。
「……」
既に、何人かの話し声が聞こえていた。俺は、お気に入りのジャージのポケットに手を入れ、落ち着くその柔らかさを確認し、深呼吸をしてドアを開いた。
ガチャ……。
「あ、新しい人が来たみたいだよ！」
こちらを見た色とりどりの参加者達、その中に、オオガミがいるのが分かった。
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くろーさぎ(プロフ) - みるくプリンさん» ありがとうございます……！！そう言って頂けると大変励みになります！閲覧ありがとうございます！(* > <)ﾍﾟｺﾘ (2019年8月10日 17時) (
レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - こんにちは。面白くて一気読みしました！普段、恋愛系の作品しか読まないのですが、こういうのも良いですね。これからも頑張ってくださいっ(*´∀`) (2019年8月10日 17時) (レス) id: 7db76bcf0c (このIDを非表示/違反報告)
くろーさぎ(プロフ) - ランさん» コメントありがとうございます！！はい、更新頑張らせて頂きます！閲覧ありがとうございました！m(_ _)m (2019年7月2日 16時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
ラン(プロフ) - イベントの方から来ました。読ませてもらいましたが、人狼ゲームのお話はあまり読んだことがなかったのでとても面白いと感じました。更新楽しみにしています♪ (2019年7月2日 15時) (レス) id: 48cb23a0f9 (このIDを非表示/違反報告)
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