日常リターンズ�� ページ26
駅前のファストフード店、窓辺の席でそいつは俺とオオガミを待っていた。
「やぁ」
イルカは俺と目が合うと、初めて会った時と同じようににこりと笑った。
「連れて来てくれてありがと、オオガミくん」
「ああ……こいつ、早速死にかけてやがったぜ」
そう言うオオガミの隣、イルカの正面に座るなり俺は訊ねた。
「……命を狙われてるってどういう事だ？」
「オオガミくん、どこまで説明したの？」
オオガミは首を横に振る。「俺に説明するだけの語彙はねぇよ」と肩をすくめて。
「まずくじらくん、人狼症候群って知ってる？」
人狼症候群……俺が貰ったゲームの招待状に書いてあった。既に人狼症候群にかかっていると。
「今、インターネット上にある仮想空間ルームで行われる、体験型リアル人狼ゲームが、一部の間で凄く流行していてね……人狼ゲームに参加する事を、専門用語で“人狼症候群にかかる”というんだよ」
「別に、病気とかじゃねーから安心しろ。ただ、人狼ゲームにハマり込んで、沼から抜け出せなくなるだけだ」
オオガミの言葉に、俺は病気じゃないんだとホッとしかけて、いや、あんな悪趣味なゲームにハマったら終わりだろ、と思い直した。
「人間の命をかけた騙し合い……リアルじゃねぇのに、リアルみてぇに、現実味やスリルがある。それに、参加者共は惹かれるんだろうな」
客観的に言うが、オオガミもその症候群患者じゃないのか？ 疑問に思う俺とオオガミを、イルカがにやにやしながら見ていた。
「何だ。語彙が無いとか言いつつ、きちんと人狼ゲームの良さを紹介出来てるじゃない」
「アホか……あんなゲームの良さが、俺に分かるはずねーだろ。俺はお前と違って……」
そこまで言いかけて、俺の視線に気づいてか、口を閉ざすオオガミ。俺はふと訊ねた。
「二人って、会ったばかりなのか？」
「うん。ついさっき知り合った」
シェイクのストローを右手でくるくると回しながら、イルカは面白そうに俺達を見た。
「アネモネさんと別れた後、オオガミくんがびっくりした顔で立ってたから、僕から声をかけて、このお店に入ったんだ」
「そしたら、お前の姿が窓ガラスから見えてよ」
俺に人狼症候群の説明をしていなかった事に気づいたイルカが、オオガミに呼び止めるように言ったのだった。
「でも、気をつけてね。さっきも言ったけど」
混ぜたシェイクを口に運んで、イルカは言った。
「人狼症候群にかかったら、これから死ぬ危険性が格段に上がるよ」
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くろーさぎ(プロフ) - みるくプリンさん» ありがとうございます……！！そう言って頂けると大変励みになります！閲覧ありがとうございます！(* > <)ﾍﾟｺﾘ (2019年8月10日 17時) (
レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - こんにちは。面白くて一気読みしました！普段、恋愛系の作品しか読まないのですが、こういうのも良いですね。これからも頑張ってくださいっ(*´∀`) (2019年8月10日 17時) (レス) id: 7db76bcf0c (このIDを非表示/違反報告)
くろーさぎ(プロフ) - ランさん» コメントありがとうございます！！はい、更新頑張らせて頂きます！閲覧ありがとうございました！m(_ _)m (2019年7月2日 16時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
ラン(プロフ) - イベントの方から来ました。読ませてもらいましたが、人狼ゲームのお話はあまり読んだことがなかったのでとても面白いと感じました。更新楽しみにしています♪ (2019年7月2日 15時) (レス) id: 48cb23a0f9 (このIDを非表示/違反報告)
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