解放ウルフ�� ページ22
疑われてもそいつの表情は変わらなかった。むしろアネモネさんの方が驚いていたほどだ。
「……さすが、人狼ゲームのプロだな。疑われるのも予測済みってわけか？」
「そういうわけじゃないよ。僕も驚いてるけど、それよりも、君の推理を聞きたいな」
疑う理由はやはり、サクライさんのカードが朝、オオガミのカードが夕方、アネモネさんのカードが夜だった事だ。
「そうなの？ アネモネさんのはともかく、二人のカードは気づかなかったなぁ」
「問題なのは、お前が気づいていたかどうかじゃないよ。俺のカードは昼だけど、思わせぶりな影があった」
元々の村人のカードを昼と仮定すると、サクライさん、オオガミ、アネモネさんの三人には時間、俺には影という工夫があった。あれが全て意味の無いフェイクだとして、何故こいつにだけはそれが無い？
「理由は簡単だ。フェイクは全て、人狼でない者を疑わせるために作られたもの。人狼に施す必要はない。だから人狼のカードは、何もフェイクが入っていない、最も疑われにくいカードなんだ」
「……」
俺はテーブルに向き直った。「イルカのカードを見せてくれ」という俺の呼びかけに応じ、イルカのカードが表示される。
「……お前のカードはどこからどう見ても、村人らしいカードだ。俺達全員のカードに違いがあったというこの状況で、お前のカードにだけ疑われる要素が無いのはおかしいよ」
「でも、それは僕の意志じゃないよ。ルームマスターが勝手にしたんでしょ？ それなら、フェイクが何も無い事自体がフェイクなのかも……」
「違ぇよ」と俺は遮る。こいつは気づいてない。最初に自分で言ったじゃないか。
「ルームマスターと知り合いなら、お前とそいつが組んで、自分は疑われないように仕向ける事も可能だよな？」
更に言えば、こいつは俺をゲームに参加させる事だって可能だ。ルームマスターに、俺を招待させれば良い。後はルールを知らない俺を、勝ったという事にして外に出させ、出た瞬間俺は処刑されるのだろう。
「敗者が部屋を出たらどうなるのか知らないが、多分、処刑されるんだろ？ 俺が処刑された後、アネモネさんも処刑されて、お前は一人次のゲームへ進むんだ」
「……」
「……何で俺を招待したんだ？ 俺は普通の人狼ゲームすらまともにした事が無いのに……」
……ふふ、と突然イルカが笑い始めた。
「な……」
「ふふ……あはは！！」
彼は、笑って俺を見た。
「さすがだね！ ……面白いよ、くじらくん？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くろーさぎ(プロフ) - みるくプリンさん» ありがとうございます……！！そう言って頂けると大変励みになります！閲覧ありがとうございます！(* > <)ﾍﾟｺﾘ (2019年8月10日 17時) (
レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - こんにちは。面白くて一気読みしました！普段、恋愛系の作品しか読まないのですが、こういうのも良いですね。これからも頑張ってくださいっ(*´∀`) (2019年8月10日 17時) (レス) id: 7db76bcf0c (このIDを非表示/違反報告)
くろーさぎ(プロフ) - ランさん» コメントありがとうございます！！はい、更新頑張らせて頂きます！閲覧ありがとうございました！m(_ _)m (2019年7月2日 16時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
ラン(プロフ) - イベントの方から来ました。読ませてもらいましたが、人狼ゲームのお話はあまり読んだことがなかったのでとても面白いと感じました。更新楽しみにしています♪ (2019年7月2日 15時) (レス) id: 48cb23a0f9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
