レペゼン狼�� ページ19
「……何よ」
アネモネさんが返す。自分は何も妙な事は言っていない、と主張するような声。
「影が見えなくて当たり前でしょ。だって、あのカードは夜の……」
そう言うアネモネさんの顔から、表情が消えた。
「……もしかして」
「……アネモネさんのカードって、夜の絵なの？僕は、昼……なんだけど」
イルカの言う通りだ。あのカードの絵柄は、確か昼間だったはずだ。それなのに……。
「……俺も昼間だ。じゃないと、くじらの影なんて見えないだろ」
「……！」
何かを言いかけて、でも何も言えずに、アネモネさんは苦悶している。本気で。
「……人狼の影なのかもしれないわよ。あんたとあたしが人狼とか……」
「人狼は二人もいないって話だったよな？ それに、人狼って、お互い分からないもんなのか？」
「……分かるよ。ゲームにもよるけど、基本的には相方の人狼が分かるようになってるんだ。つまりは……」
イルカは顔を歪めていた。まるで、こんな所で姐さんを失いたくない、と、別れを惜しむように。
「……アネモネさんが、人狼……だね」
「……」
アネモネさんは黙り込んだ。決定的な、揺るがぬ証拠。人狼ゲームの熟練者にあるまじき失言が、彼女の首を締める事となった。
「……アネモネさんにしては珍しいね、こんな所でボロを出すなんてさ。いつもはあんなにポーカーフェイスなのにね」
「……表情に出さないのはあんたも同じでしょ。第一、あたしはまだ、人狼と認めたわけじゃないわよ」
「……無理だよ、俺もイルカも、アネモネさんに入れるから」
俺は言った。アネモネさんはこれから処刑されるのだという、やや現実離れした現実を、重く受け取りながら。俺は断言する。
「……アネモネさん、あんたが人狼だ。俺は、次はちゃんとあんたに投票するよ。早くこのゲームを終わらせて、レポートを仕上げるんだ」「……」
しばらくの沈黙。アネモネさんは、ほとんど表情を変えないまま「……分かったわよ」と呟いた。
「……あたしが人狼で良いわ。その代わり、ちゃんとそのレポート、帰ってから仕上げなさいよ。あたしが処刑される意味が無くなるわ」
はーぁ、とアネモネさんは大きくため息をつく。
「……悪いけど、投票させて貰うね」
イルカは最初、アネモネさんが失言した時は戸惑ってはいたが、今はもういつも通りの笑顔で、何の躊躇もなくボタンを押す。
「……これで人狼の負けね」
自分から椅子に座り直すアネモネさんを横目に、俺も黒のボタンを押した。
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くろーさぎ(プロフ) - みるくプリンさん» ありがとうございます……！！そう言って頂けると大変励みになります！閲覧ありがとうございます！(* > <)ﾍﾟｺﾘ (2019年8月10日 17時) (
レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - こんにちは。面白くて一気読みしました！普段、恋愛系の作品しか読まないのですが、こういうのも良いですね。これからも頑張ってくださいっ(*´∀`) (2019年8月10日 17時) (レス) id: 7db76bcf0c (このIDを非表示/違反報告)
くろーさぎ(プロフ) - ランさん» コメントありがとうございます！！はい、更新頑張らせて頂きます！閲覧ありがとうございました！m(_ _)m (2019年7月2日 16時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
ラン(プロフ) - イベントの方から来ました。読ませてもらいましたが、人狼ゲームのお話はあまり読んだことがなかったのでとても面白いと感じました。更新楽しみにしています♪ (2019年7月2日 15時) (レス) id: 48cb23a0f9 (このIDを非表示/違反報告)
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