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サテンへ行く途中、前から2人のツッパリが歩いてきた。
目を合わさず、ツッパリを避けてすれ違うと、「おい」と声をかけられた。
無視してそのまま歩いていると、後ろから肩を掴まれて振り向かせられる。
「無視しないでよォ。なあ、マブイ姉ちゃん。俺らと遊ぼうぜ」
「私、忙しいから……すいません」
面倒だと思いつつ、上目遣いでこの場を乗り切ろうとする。
「まぁまぁまぁ、礼儀正しいねぇ。ちょっとだけ、ちょっとだけだからさぁ」
私の肩に腕を回し、歩き始める。
しつこい。
回し蹴りしたいところだけど、制服を着て他のツッパリが見ているかもしれない今、それはリスクが大きい。
少し抵抗しながらどうしようか迷っていると、背後から足音がした。
「おいテメェら。女を困らせるんじゃねぇ」
振り向くと、青い制服を着たツッパリ2人組。紅高か。
今日はなんだかツッパリとの絡みが多い。
「あ?なんだテメェ」
「俺は紅高の番、今井だ」
「知らねぇなァ。」
「俺はこれから、その女を助ける!!」
「やれるもんならやってみろよ」
ツッパリが吠えると、今井さんに殴りかかり始めた。
紅高の、私より少しだけ背が高い男子が、私をその場から少し離れさせる。
「大丈夫ですか」
優しい目で、そう聞いてくる。
「はい、大丈夫です。ありがとうございます」
私は頭を下げた。
「いえいえ、お礼は今井さんに言ってあげてください」
そう言って優しい笑顔を向ける彼。
「あ、俺、谷川安夫です。あの人は今井勝俊です」
「……私は、Aです」
名字を言ったらバレるかもしれないから、名前だけ言う。今井さんに目を向けると、私に絡んできたツッパリたちは地に伏していた。
「あの子に二度と手ェ出すんじゃねぇ!!」
今井さんはそう吐き捨てて、私に向かって歩いてきた。
「お嬢さん、お怪我はありませんか」
爽やかな笑顔で、私を気遣う今井さん。
「はい。ありがとうございました」
今井さんに頭を下げる。
「漢、今井。当然のことをしたまでです」
「助けてもらったの初めてです」
今まで、自分でどうにかしてきたから。
助けられたのは少し……いや、だいぶ嬉しかった。
だから、自然と頬が緩んでしまう。
「本当にありがとうございました。紅高ですよね?後日お礼させてください」
私はもう一度頭を下げて、サテンへ向かった。
ツッパリとはいえ、助けてもらったんだからお礼はしなきゃ。
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こいずみ(プロフ) - 青龍 葵さん» コメントありがとうございます!返事が大変遅くなりましてすみません、、!!久しぶりに更新しました。またお楽しみいただけると幸いです!! (2021年10月21日 23時) (レス) id: 64da7f082c (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - 更新を楽しみにしてます。 (2021年5月3日 5時) (レス) id: e10675e39d (このIDを非表示/違反報告)
こいずみ(プロフ) - hiroさん» ありがとうございます!! (2020年8月18日 11時) (レス) id: 64da7f082c (このIDを非表示/違反報告)
hiro - とても面白かったです!更新楽しみにしています!頑張ってください! (2020年8月14日 1時) (レス) id: ed14337de3 (このIDを非表示/違反報告)
こいずみ(プロフ) - 豫さん» 果たしてお家デート(?)なのでしょうか!!笑 きゅんきゅんしていただけて嬉しいです〜!! (2020年8月8日 1時) (レス) id: 64da7f082c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こいずみ | 作成日時:2020年7月31日 16時