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いくら開久の頭が相手でも、数人で1人を囲んで、しかも凶器を使うなんて卑怯だ。
「危ない!」
角材を振り下ろそうとする学ランに飛び蹴りをする。
体勢を崩し、地面に倒れる学ラン。
……卑怯な手を使う程度の奴だ。大したことない。
「このアマァ!!」
角材を構えた学ランがそう叫びながら立ち上がった時、背後でドサドサッと複数が倒れる音がして、私の目の前の男が角材を振り下ろすより先に、片桐がそいつまでもノックアウトさせた。
……速い。
呆気に取られていると、片桐が私の方に振り向いた。
近くで見るととても大きい。しかも、ちょっといい匂いする。
「……女が危ない真似すんな」
怒られた。
予想外で少し肩をすくめる。
まあ、勝手に突っ込んでったから当たり前なんだけど。
「すいません……。こいつらが卑怯だったから、つい」
ツッパリの喧嘩には絶対に関わらないんだけどな。
"弱い人や困っている人が居たら助けなさい"
これは、小さい頃からのパパの教えだ。
この教えの通り生きていたら、考えるより先に体が動くようになってしまった。
「……まあ、助けられたことには変わりねぇ。この借りはいつか返す」
切れ長の瞳が私を真っ直ぐ見つめる。
顔立ちがハッキリしていて、ちょっとタイプだ……とか思っちゃう。
「いや、別に大丈夫です。ツッパリとはなるべく関わりたくないんで。……今日はたまたま突っ込んじゃいましたけど!それでは」
私は鞄に付いた砂埃を払い、この場を立ち去ろうとすると、後ろから声をかけられる。
「……スケバンでも無さそうだし、こんなのに怯みもせず突っ込んで来るなんて一体何者だ」
私はくるりと振り向く。
「普通の女子高生です」
そう答えてニコッと笑顔を向け、サテンに向かう。
……衝動に駆られたとはいえ、ツッパリと関わってしまった。しかも、よりによって開久だ。バックにヤクザからチンピラまでズラリの開久だ。
制服で学校はわかるだろうし、顔は覚えられてしまっただろう。何者だって言われたし。
「はあーーー、どうしよう」
なんとしてでも、家のことはバレないようにしなきゃ。
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こいずみ(プロフ) - 青龍 葵さん» コメントありがとうございます!返事が大変遅くなりましてすみません、、!!久しぶりに更新しました。またお楽しみいただけると幸いです!! (2021年10月21日 23時) (レス) id: 64da7f082c (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - 更新を楽しみにしてます。 (2021年5月3日 5時) (レス) id: e10675e39d (このIDを非表示/違反報告)
こいずみ(プロフ) - hiroさん» ありがとうございます!! (2020年8月18日 11時) (レス) id: 64da7f082c (このIDを非表示/違反報告)
hiro - とても面白かったです!更新楽しみにしています!頑張ってください! (2020年8月14日 1時) (レス) id: ed14337de3 (このIDを非表示/違反報告)
こいずみ(プロフ) - 豫さん» 果たしてお家デート(?)なのでしょうか!!笑 きゅんきゅんしていただけて嬉しいです〜!! (2020年8月8日 1時) (レス) id: 64da7f082c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こいずみ | 作成日時:2020年7月31日 16時