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家に一人で居るといろいろ考えてしまうため、私はこじんまりしたサテンに入った。
カランカランとドアが鳴る。
「おっ、嬢ちゃんまた来てくれたのかい。最近よく来るねえ」
マスターが私に気づいて出迎えてくれる。最近ここに来ることが多くなって覚えられたみたいだ。
「マスターのレスカ美味しいので!今日もレスカで」
「はいよ」
私はお店の一番奥のテーブル席に座り、宿題を広げた。ママが望む普通の子になるために、私はちゃんと宿題をやる。
マスターがレスカを持ってきて、その隣にお皿をひとつ置いた。不思議に思って顔を上げると、それはプリンだった。
「えっ、私レスカしか頼んでないよ」
「いつも頑張ってるからサービスだよ。今は他にお客もいねえし」
「マスター……!ありがとうございます」
私は宿題を隅によけてプリンを頬張った。ほどよい甘さで美味しい。
プリンを堪能していると、ドアが開いて誰かが入ってきた。紺のロングセーラーに黄色のスカーフ、明菜ちゃんカット。
「明美ちゃん……!」
「A!」
明美ちゃんがびっくりして私の向かいの椅子に座った。
なんだか少し困ったような顔をしている気がする。
「明美ちゃんどうしたの?」
「いや、ちょっと……人と会う約束してて。来てくれるかわかんねえけど……」
「そうなんだ。京子ちゃんが一緒じゃないの珍しいね」
「そう、それなんだけど……今日のこと京子さんには内緒にしてくれ。頼む」
明美ちゃんは頭を下げた。なんかすごく必死だ。一体何があったのか。
「え?……うん、なんかよくわかんないけど、わかった」
「助かる……!ありがとな」
京子ちゃんが三つ向こうの席に移動して、私はまたプリンを嗜む。
しばらくすると入り口の扉が開いて、そこへ現れたのは今井さんと谷川さんだった。
明美ちゃんは今井さんたちを見て会釈した。
なんだなんだ、明美ちゃんと待ち合わせしてたのって今井さんだったの。
今井さんは明美ちゃんの向かい側の椅子に座り、谷川さんは私に「向かい、いいっスか」と聞いてきたので了承する。
明美ちゃんは緊張した面持ちだ。
「なんですか、何が始まるんですか」
「今井さんが突然呼び出されたんですよ」
「ほう……」
今井さんを呼び出して、京子ちゃんに内緒とは。さっぱりわからない。
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こいずみ(プロフ) - 青龍 葵さん» コメントありがとうございます!返事が大変遅くなりましてすみません、、!!久しぶりに更新しました。またお楽しみいただけると幸いです!! (2021年10月21日 23時) (レス) id: 64da7f082c (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - 更新を楽しみにしてます。 (2021年5月3日 5時) (レス) id: e10675e39d (このIDを非表示/違反報告)
こいずみ(プロフ) - hiroさん» ありがとうございます!! (2020年8月18日 11時) (レス) id: 64da7f082c (このIDを非表示/違反報告)
hiro - とても面白かったです!更新楽しみにしています!頑張ってください! (2020年8月14日 1時) (レス) id: ed14337de3 (このIDを非表示/違反報告)
こいずみ(プロフ) - 豫さん» 果たしてお家デート(?)なのでしょうか!!笑 きゅんきゅんしていただけて嬉しいです〜!! (2020年8月8日 1時) (レス) id: 64da7f082c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こいずみ | 作成日時:2020年7月31日 16時