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「あーーーッ!!!!」
私と目が合った三橋くんが叫ぶ。
「えっなになに知り合い?」と戸惑う椋木先生。
「昨日の」
三橋くんがそう言いかけたところで、私も「あーーーー!!!!」と大声を上げ、三橋くん目掛けて教室を走る。そして、口を塞ぐ。
昨日、不良を倒したところ見られてたら大変だ。
私がツッパリと関わらない主義なのをクラスメイトはみんな知ってるけど、街中でツッパリやらチンピラやらにナンパされてる子を拳や蹴りで助けてることは知らない(理子は知ってる)。
もし、私が戦えることを軟高のツッパリに知られたら、喧嘩売られるかもしれない。勝てる気しかしないけど、勝ったら私の噂広がっちゃうかもしれないし、別の学校のツッパリからも絡まれるようになるかもしれない。
そしたら最悪、ヤクザにまで情報が……。
パパに迷惑がかかることは、絶対に避けたい。
「すいません椋木先生、風紀委員の友人として、髪型について一喝してきますね」
「それはそれは風紀委員の友人として素晴らしいことだ、よろしく頼んだ」
だいぶ棒読みで返してきた椋木先生を横目に、私は三橋くんの腕を引いて廊下に出た。
キメ顔なのか、睨んでいるのか、よくわからない顔で私を見る三橋くん。
「……ねぇ、昨日どこまで見てた?」
私の問いかけに、眩しそうな顔で、かっこいい声で。
「不良3人倒すとこまで」
そう答えた。
「私、ツッパリとはなるべく関わりたくないの。絶対誰にも言わないで」
「なんかちょっと傷つくけど……マブいお嬢さんの頼みなら、しょうがない」
お嬢、という言葉に反応して、私の肩がビクッと震えた。三橋くんのは、そういう意味のお嬢じゃないだろう。
「うん、ありがとう。約束ね」
私はそう言って、三橋くんの右手を両手で握り、ニコッと笑った。
「さっ、教室戻ろうか」
魂が抜けそうな顔をした三橋くんを連れて教室に戻る。
朝のホームルームが終わってしばらくすると、ツッパリ達が教室に入ってきて、三橋くんに絡み出した。
面倒くさそうなことになったなぁ。
そう思いながら1時間目の授業の準備をしていると、消しゴムを落としてしまった。
拾おうとすると、転校生のウニ頭が「あの、これって君の消しゴムだよね」と拾ってくれた。
「うん、ありがとう」
珍しく、優しいツッパリだな。
そう思いながら騒がしいツッパリ達の方を見ると、三橋くんが私達に助けを求めるような目線を送りながら、ツッパリ達に押されて教室を出て行った。
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こいずみ(プロフ) - 青龍 葵さん» コメントありがとうございます!返事が大変遅くなりましてすみません、、!!久しぶりに更新しました。またお楽しみいただけると幸いです!! (2021年10月21日 23時) (レス) id: 64da7f082c (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - 更新を楽しみにしてます。 (2021年5月3日 5時) (レス) id: e10675e39d (このIDを非表示/違反報告)
こいずみ(プロフ) - hiroさん» ありがとうございます!! (2020年8月18日 11時) (レス) id: 64da7f082c (このIDを非表示/違反報告)
hiro - とても面白かったです!更新楽しみにしています!頑張ってください! (2020年8月14日 1時) (レス) id: ed14337de3 (このIDを非表示/違反報告)
こいずみ(プロフ) - 豫さん» 果たしてお家デート(?)なのでしょうか!!笑 きゅんきゅんしていただけて嬉しいです〜!! (2020年8月8日 1時) (レス) id: 64da7f082c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こいずみ | 作成日時:2020年7月31日 16時